第8章 ジム巡り②
「やれやれ…以外に根に持つタイプだね。でもその強がりはいつまでも続きはしないよ」
試合が終わり、とポプラはスタジアムの中央にきた。
最初に口を開いたのはポプラで、やはり年齢のことを根に持っているのか、少し言葉が刺々しく感じた。
「…何がアンタをここまで追い詰めてるかあたしにはわからないけど、勿体ないさね。アンタもポケモンも。せっかくいいもの持ってるんだ、もっと自分を大事にしな」
「…ポプラさん…」
「あたしの最後のクイズ以外は正解。バトルも文句なしに強い、だけどオーディションは不合格。あたしの眼鏡には叶わないね」
「はは…そうですか…(オーディションされてたんだ)」
は苦笑いした。
「気にかけてくれてありがとうございます…最後のクイズも…その、ムキになってごめんなさい…」
「あんな大声で答えた子はアンタが初めてだよ」
「…はは」
ジトっとポプラからの視線が痛く、は目を逸らした。
「記念にフェアリーバッチあげるよ」
ポプラの手にバッチがあり、はそれを受け取った。
まだモンスターボールにしまっていなかったドラピオンがの後ろにやってきて、はクルリと後ろを振り向いた。「せーの」と言葉をかけて、はその場でジャンプした。
「フェアリーバッチ、ゲットだぜ!」
ドラピオンは片腕を上げるだけにとどめたが、着地した主人の拳と自分のハサミを軽くぶつけたあった。ワーッと会場が歓声で包まれ、は振り返ってポプラを見た。
「ポプラさん、私この旅が終わったらちゃんと考えます!だから次はナックルシティで会いましょう!」
はニコッと微笑むと、ポプラは少し面を食らったような、パチパチと目を瞬かせた。
(…この子に、負けるって言葉はないのか…でも似てる、少し、ダンデに)
観客に手を振りながらスタジアムを後にするの背中を、ポプラはジッと見た。この先彼女があの笑顔のままでいられるのか、それとも勝ちたいのか負けたいのかわからないあのダンデのように、偽物の笑顔に変わるのか…。
(本当にもったいないね、もう少しピンクが足りてれば…)
なんて、とポプラは目を閉じた。