第8章 ジム巡り②
【キバナ視点】
久しぶりのシュートシティに来たかと思えば、それはローズさんに渡す大事な書類だったり、城の設備に問題がないかとか、メールを送ればすぐ片付く仕事なんだが…久々にダンデでも拝みに行ってやるかってことで来たわけだ。
もちろんローズタワーに行くと事前に電話はしてある。
まだ俺のジムには一人のチャレンジャーが来てないせいで、暇だった…という理由は黙っておこう。これは敵外視察だ。
ローズタワーに着いて、フロントで書類の件とダンデのことを伝えると、早速ダンデと連絡をとってくれた。どうやら今日はタワー内にいるらしい。
早速エレベーターに通され、目的のフロアまで向かった。ここには何回か来たことがあって、ダンデのオフィスは迷わずに来れる。
一応ドアノックをしてドアを開ければ、珍しくマントを羽織っていないダンデが部屋に置かれたソファーに腰掛け、テレビをつけていた。
「珍しくここにいるって思ったらお前、テレビ見てんのかよ」
「キバナ!いいところに来た!ちょうどの試合が始まる!」
テーブルには食べかけのサンドイッチが置かれていて、もう昼はとっくに過ぎたのに遅めのランチをとっているということがわかった。
(せっかく来てやったのにって…)
しょーがねぇなと思って、優しい俺さまはダンデの隣に座ってやることにした。あーほんと俺っていい奴!俺さまが乱暴に隣に座っても、ダンデのやつはテレビに釘付けだ。俺さまに眼中もないダンデを呆れて見ていたが、俺はジッとダンデを上から下まで見た。
流石に俺の視線に気が付いたのか、ダンデは「キバナ?」と言ってやっと俺さまの方を見た。
「お前……なんかゴツくなったか?」
「そう見えるか?実はトレーニングの見直しをしたんだ」
ダンデは嬉しそうな顔をして、今取り組んでいるトレーニングを教えてくれた。別に褒めてねーし聞いてねーし…ますます胸筋に磨きがかかったせいか、今来ているユニフォームが少しキツそうに見えた。…何が悲しくて男の胸筋なんて見せつけられんだ俺…。
「そういうキバナも鍛えてるんだろ?」
「当たり前だぜ、ちゃーんとバランスよく鍛えてるぜ」
「さすがキバナだな」
嫌味を言ったつもりだったが、ダンデはそれを笑顔で肯定した。
さすが俺さまのライバルだぜ、ダンデ…。