第8章 ジム巡り②
「…アンタならジムチャレンジを辞めると思っていたけど…どうしても進むんだね」
翌日、はアラベスクタウンのスタジアムに来た。
中に入り手続きを済ませ、全てのジムトレーナーを倒し、舞台の外で見ていたポプラが立ち上がった。
「……ポプラさんの言ったことは正しいです。私は…手持ちのポケモンたちに甘えきっています。でも、約束したんです。ポケモンたちに。…あの人にも……だから今日はちょっと荒くなるかもしれません」
は舞台からおり、ポプラの横を通り過ぎて真っ直ぐメインスタジアムの方へ歩いて行った。
通り過ぎて行ったをポプラは振り返って見つめた。彼女は遠くなっていく背中を見て、フッと息を一つこぼした。
「なんだい、想像してるよりひねくれてるじゃないか。ピンクは足りないけれど…」
ポプラもが向かった方へゆっくり進み、彼女がどんなバトルを繰り広げるのか楽しみだと言いたげな笑みを浮かべた。
・・・
とポプラはアラベスクスタジアムのフィールドに立った。
すでに満員のスタジアムの観客は、二人の声援に包まれていた。
二人は静かに見つめ合うと、ボールを手に取った。
『アラベスクジムのポプラと、ジムチャレンジャーのの公式試合を始めます! それでは…始めっ!!!』
レフリーの合図でポプラはフィールドにガラル姿のマタドガスを出した。
今まで見てきたマタドガスとは違い、薄い緑色の煙がマタドガスの顔や周りにつき、長い煙突を思わせる頭からは煙が出ている。
「お待たせ、ラグラージ!」
もボールをフィールドにラグラージを出した。
ボールから出たラグラージはあたりを見回すと、向かいに立っているポプラとマタドガスを見つけ、両手をフィールドにつけてジッと相手を見た。
「ラグラージ飛ばしていくよ!マッドショット!!」
「グラァアア!」
はすかさずラグラージに指示を飛ばした。
ラグラージもこの時を待っていたかのように、口から泥の球をマタドガスに向けて吐き出した。
(楽しくなくったっていい!でも約束だけは…約束だけは守る!)
ギュッと手を握りしめて、はラグラージの背中を見守った。