第8章 ジム巡り②
久しぶりに外に出たリザードンは、あたりを見回した。
そしてハッサムと、ベットで涙をこぼしているエレズンを見て眉間に皺を寄せた。ハッサムはエレズンから離れると、リザードンに近づき状況を説明した。
ハッサムからあらかたの話を聞くと、ベッドでうずくまって寝ている主人に大きなため息をついた。ハッサムに目くばせをすると、ハッサムは頷いてエレズンを抱えて部屋を出て行った。
「…エレ?」
エレズンは不安そうにハッサムの腕の中からハッサムを見上げると、ハッサムは大丈夫だと一鳴きして部屋の扉を閉じた。
***
部屋を出て行ったハッサムとエレズンを見送ったリザードンは、うずくまっている主人の背中に顔を押し当てて押した。
数回揺すると、流石に大きな揺れに気がついたがハッと目を開けて体を起こした。
「…リザードン?」
「バギュア!」
はキョロキョロとあたりを見回したが、エレズンの姿はなかった。
「あ…エレズンは?どこに」
「グルルルルル」
しかしそれを阻止したのはリザードンだった。自分の顔の前に自分の顔を寄せ、はっきりと怒りを感じる目と合った。は自分を怒って見つめるリザードンの目をしっかりと見た。
「…ごめんなさい、ちょっと…色々あって…」
それでも気まずく思って、はリザードンの瞳から目を逸らした。頭の中で、今朝あった老婆---ジムリーダーのポプラの言葉が自分に突き刺さった言葉を思い出した。『ポケモンたちが可哀想』『甘えすぎ』。
彼女の言うことは正しかった。
このジム巡りも、キバナのトレーナーカードが欲しい、ちっぽけな願いだ。好きじゃなくなったバトルを無理に推し進めた。昔の自分が顔を出すんじゃないかって怖かった。それでも自分に答えてくれるポケモンたちに甘えていることは重々承知だった。わかっていた。バトルをしていると、自分のためにバトルをするポケモンたちに罪悪感が募った。
時々自分は何をしているんだろうと、心が陰ればそれを必死になかったことした。だから、この間ダンデとのバトルをした時、目が会った時、怖くなったのだ。全部バレるんじゃないかって___。
きっとダンデは見透かしてたのだ、負けるのが怖いのかと問うた時。
は怖くてたまらなかった。