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ひみつのひめごと【鬼滅の刃/R18】

第36章 聞こえない音  お相手:宇髄天元


みくりを横抱きにして
ピアノの前の椅子に座らせると
自分の足の間に挟むようにして
自分も椅子に座った

「弾けそうか?」

「うん、…大丈夫…」

本当は手も…動きにくく…なってる

少し震える

ついに 痺れが指先に感じる様になってて


この日が この時が来るのが怖いって

ずっと思ってた


でも 不思議と今は…その日が来たのに


全然 怖いって気持ちは無くて


きっと 弾けるのが今しかないなら


今が最後になるのなら



私は… やっぱり

弾きたい…ッ


ピアノを…弾けるだけ 弾きたい


弾ける内にもっと 弾きたい


宇髄はそのピアノから溢れる音に
自分の耳を傾けていた

その音のひとつひとつから


弾きたいって想いが 聞こえる


音に魂…乗ってんな…


正直 妬けそ

命かけるのは…こっちかよって

嫌味のひとつも言ってやりてぇわ


こうして 自分の身体を
みくりの背中に押し付ける

随分と痩せたな…



みくりがいつもの曲を弾き終えて



ぽつっと呟く様に言った


「もう、来ないで貰えませんか?」


「はい、そーですか、とは。
俺は行かねぇし。
お前は俺と居るの嫌じゃねぇんだろ?」

ギュっと後ろからその身体を抱きしめたら

肩が震えて居て
声を殺して泣いていた

「…………」

みくりからの返事はない

「だったら、嫌いって言えるだろ?
俺の事、嫌いだから、顔も
二度と見たくないって。言えるだろ?」

天元さんの事が嫌い…

嫌いだと言えと そう言われて

「そう言われたら、もう来ねぇ。
来てほしくねぇなら、言えるだろ?」

そう 静かに言って来て


言わなくちゃ

もう 来ないでって


言わなくちゃ…

「……っ、天元さ…んの事なんて、
き、…らいっ、です。…貴方の
事なんて、…天、元さ…んなんて」

「ああ、言え。もっとハッキリ
言わねぇと、聞こえねぇー」

ギュッと自分の拳を握りしめて


「天元さんの事なんかっ、大…嫌い…?」


意を決して
そう言い切るつもりだった

それで全てが終わる

魔法が解けるのだと

頭では理解が出来てるのに

それ以上の言葉が紡げなくなって

言葉にならない


その代わりに ぽろぽろと

涙だけが 零れて

どんどんと 溢れる


「大嫌い?」
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