第36章 聞こえない音 お相手:宇髄天元
それから 4日程熱が出て
熱が下がって 天元さんに
久しぶりに会ったけど
その間にお風呂に入ってなかったから
近付かれたくなくて
つい 口付けをしようとして来た
天元さんの身体を押してしまって
しまったと思った
「もしかして、風呂入れてないの
気にしてる感じ?じゃ、風呂な」
そう言って ひょいと
荷物みたいに運ばれてしまって
お風呂場に運ばれてしまって
綺麗に全身洗われてしまった
後 普通に洗われただけだった
お風呂に入ったら
部屋のベットに降ろされて
そのままバスタオルで髪の毛の水分を
宇髄が丁寧に拭き取って行く
「いいよ、自分で出来る」
「俺がしてぇの。大人しく拭かれとけ。
天元様に尽くして貰えるなんて、
光栄に思えよ?みくり」
髪の毛に付ける
香油を 髪の毛に馴染まされて
渇いた髪の毛をざっくりと
みつあみにされてしまった
ギュッと後ろから抱きしめられて
宇髄がみくりの背中に
自分の耳を押し当てて来る
「馬鹿だろ…、お前…」
「天元…さん?馬鹿って?」
何もしてないのに
息が乱れている…
だが 乱れてるのは…それだけじゃない
心臓の音が…何もしてないのに
乱れているのが…分かる
丸4日… 熱が出て
寝込んでただけで ここまで…
今日の 天元さん 変だ…
いや 変じゃないんだ
気付いてる…んだって
天元さんの様子がおかしいのは
私の具合が…悪くなってるのに
天元さんが 気が付いてるからだ
お医者さんが言ってた
この病気は症例が少ないけど
寒さには弱い病気で
冬になると急激に悪化するって
この病気になってから
冬が来る度に悪化していた
もう 私は…
この冬は…越せない
きっと もう一月もすれば…
こうして 座ってるのも…
難しくなるかも知れない
「ねぇ、天元さん…」
「どうした?」
「ピアノ…、聞きませんか?」
コイツは何も言わない
けど 音を聞いてりゃ分かる
コイツの身体の痺れ
足は全く動かない
それに 今はもう…手にも
痺れが大分来てるのに
病の音が…あちこちから聞こえる
それなのに
そんな風に 笑顔で
俺にピアノ聞けって言って来るのかよ
全く コイツには 敵わねぇ…よ