第33章 絶対君主のお気に入り お相手:煉獄杏寿郎 Rー15
元来の工芸茶であれば
その花が湯の中で花開いて
その花の色味を楽しむ為に
お茶自体には色が
ほとんど出ない様になっているけど
海の向こうの工芸茶の特徴は
花の色味は飛ばしてあるし
その分お茶としての香りや色味を
楽しむ為にしてある…
目で楽しむのか 鼻で楽しむのかの違いだ
「ふふふふふ。貴方だったらって
思ってたんだけど。国内だけじゃなくて
他所の国の事にも詳しいのね。
このお茶は取り寄せてもらって、3月待って
やっと届いたお茶なのよ?」
そう嬉しそうに鈴蘭姫が
この茶葉に対する話をすると
隣にいた 菖蒲姫が
「鈴蘭ちゃんは、……お茶好きだから……。
私には……、どれも同じだと思うけど…」
鈴蘭姫がその菖蒲姫の言葉に
苦笑いをしていると
「まぁ~、私は飲めたら何でも
いいけどなぁ~」
そう我関せずに牡丹姫がそう言って
取り寄せるのに3月も掛った
海を渡って来た茶葉で淹れたお茶を
ぐいっと一気に飲み干した
「もう、牡丹っ!貴方はいつも
そんなんだからっ。私は、貴方は
お茶会に呼びたくないのよ」
目の前の3人のお妃様達の
そんなやり取りにどうしたものかと
みくりが考えていると
ツンツンと左側から肘で突かれて
左に座っている赤薔薇の方を見ると
「いいの、いつもこうだから」
「そうそう、だから
みくりは、私達とお話しましょ?」
にっこりと笑みを浮かべて
今度は右側から白薔薇がスルリと
みくりに腕を絡ませてくる
「でも…、私。安心しました……」
「安心?何?」
みくりの言葉の意味が分からずに
赤薔薇が聞き返して来る
「お妃様同士の、お仲がとても
よろしいので…。後宮は女の園ですし……」
「あ~あ、それね?だって私達は
10人でひとつだから、争う
必要はないもの…?と言いたい所だけど」
「ちょっと。牡丹。みくりは
まだ妃として、ここに来てすぐなんだから…」
牡丹の言葉に鈴蘭がそれを
制止するように言った
「いや、あの……。
鈴蘭姫様、私は……スルタンの妃ではなくて、
先日より行方不明となっておられます。
椿姫様の代行にありますゆえ…」
その場にいた王妃達の視線が
私に集中するのを感じる
口を開いたのは牡丹で
「貴方。
スルタンに所望…されたんでしょ?」