第33章 絶対君主のお気に入り お相手:煉獄杏寿郎 Rー15
それに…
みくりの目が…
彼女の父の 与壱に似ている
俺が…何度も
彼に… 娘をここに入れるように
要求したのにも
関わらず
のらりくらりと曖昧な
返事をするばかりで
いつになっても
そうする気配がなかったと
思っていたら
事もあろうか……与壱は
自分の娘を俺の妃としてではなく
一介の侍女として送り込んで来たのか
確かに後宮に入れろとは
俺から申し出たが…与壱の奴…
よほど娘を俺にくれてやる
つもりはないらしい
他の領主に至っては
安定的な出世が保証されるのだ
是非にと自分の娘を
差し出して来る物を……
だが……
考えられる事が ひとつあるのであれば…
「みくり……」
窓からは月明りが差し込んでいて
明かりの消えた室内を照らす
今日は…月が明るい……
月の光を受けて
黄金色に輝くその髪と
その整った顔を見ていると…
彼と言う 杏寿郎と言う存在が…
正しく スルタンに相応しい
選ばれし 人間なのだと…
そう思えてしまって……
「ス、スルタン……様?」
みくりの髪を一束
杏寿郎が手に取ると
その髪に恭しく口付けを落とす
「……して、君が……俺の
妃になれない…、理由は?何だ?
申してみるがいい」
俺からの寵愛を受けるとは
俺の子を 身籠る…
その 可能性 を得ると言う事だ
俺の子を身籠る事は
妃としての地位が保証されると言う事で
この国の女王と言う…
立場が得られると言うのに?
一度ならずして
二度までも 俺の目の前のみくりは
それを受け入れる様子はなく
その瞳が 真っすぐに俺に向けられていて
ああ やっぱり 同じだと
感じずにはいられない
間違いなく 彼女は彼の娘だ……なと
「全ては……、スルタン様。貴方様の
為にあります……、私は……、
貴方様の…妃にはなれないのです…」
「俺は……その理由を、
聞いている……、んだが?」
「それは、スルタン。貴方様の将来…に
もしくは……、貴方様のご子息に……
次のスルタンの為にもあります……」
みくりが俺の妃になれない理由が
俺の将来の為にあり
ひいては 俺の次の王の為だと
そう 彼女が言って来て