第33章 絶対君主のお気に入り お相手:煉獄杏寿郎 Rー15
夜伽……であるのならば
こちら側が主である彼に
奉仕をする側であるので
その教養がないで断る事も可能だが
杏寿郎は
私を…抱くと言って来て
そうする……のであれば……
私がその作法を知る知らないが
全くの問題ではなくなってしまう
「相変わらず…欲がない家系なのか?
君の家系は……。俺が所望すれども…
差し出すつもりが無かった、大事な
ひとり娘を……妃として送り出さずに
只の侍女として潜り込ませた理由は何だ?」
「………それは」
杏寿郎からの質問に
みくりが言葉を詰まらせた
スルッと寝巻の間から
大きな手が滑り込んで来て
みくりの太ももを撫で上げて行く
「答えられない…か?
答えないのなら……俺は…、
事を進めて行くが……どうする?」
えっと それは
その このまま先ほど
仰ったとおりに なさると言う事で……
ギュ……とみくりが瞼を閉じると
グッと自分の太ももに力を入れて
足が離れない様に引っ付けて来て
その行動は俺への
確実は拒否の姿勢なので
生まれてこの方……拒否される
経験がほとんどない杏寿郎に取っては
自分への侮辱か何かの様に感じて
余計にそうしてやりたくもなるが…
「父が……、
私の父が……病の床に伏した折に」
みくりが話を始めたので
太ももを撫でていた手を離すと
その言葉に杏寿郎が耳を傾ける
「……スルタン様を…、自分が
お支えする事が叶わないからと…。
だからと言って、弟が家を継いでいますが。
その……私の弟は…まだ戦に赴ける
年齢でもありませんし…。それに…」
明らかに彼女の表情が曇った
「君の弟には……、
弓の才覚が無いのだろう?」
彼女の父が家督を弟に
継がせるのを悩んでいた
家督を弟ではなくみくりの方に
継がせるつもりだった……その理由が
小野寺の家の名に相応しい
弓の才能が
彼女の弟には無かったと……
「ええ。その通りにあります。
私に……ではなく
弟の方に……、それがあれば…ッ、
何ら問題は無かったのですが……っ」
彼女の瞳から零れ落ちる涙は
彼女の家がそれだけ
俺の一族に代々誠意を持って
仕えて来ていると言う 何よりの証だった
ふぅ…と杏寿郎がため息をついて
「君は……、天才的だな。
俺の興を……、醒ますのが上手すぎる…」