
第119章 夫婦でおもてなしをしよう!前編 お相手:煉獄杏寿郎 現代パロ

突然口を塞がれて
移動を何の説明も受けずに
余儀なくされた事に対して
不満そうな顔をして
口を塞がれたままで
みくりが視線で訴えかけていて
静かにしながら
アッチを見ろと
杏寿郎がジェスチャーで伝えて来て
こっそりと…そっちを見ると
バッっと凄い速さで
音も立てずに呼吸を使って
俺の影に奥さんが身体を隠しながら
ぎゅううと俺の腕を掴んで
自分の顔を腕に押し付けて来て
「だから言っただろう?奥さん。
あのふたりだって、恋人同士なんだから
キスのひとつだって、
したくもなって当然だろ?」
そう杏寿郎が当然だと
言いたげに言って来て
でも…ドライヤーは2人に
使って貰う為に
あのキッチンの延長線にある
リビングの部分の和室にあるままだから
あっちに行かない事には…
私も杏寿郎も頭を乾かせないままだし
キスが終わるまで待つべきか
どうするべきかと思案していたら
ドタドタとわざとらしいぐらいの
足音を杏寿郎が立てて
「あ~、奥さん、良い湯だったなぁ~」
そう大きな声で廊下でそう言って
きっとその声はキッチンの
カウンターの所のあの2人にも
絶対聞こえるだろうから
そのまま杏寿郎が入って行くのに
続いて遅れながらにリビングに入って
「どうだ?飲んでるか?
うちの、奥さんの…作る
酒のツマミは…酒が進み過ぎるから
危険だと…俺の同僚も言っていたからな」
「ああ。美味いツマミで
美味い酒、頂かせて貰ってるぞ。
さっきの剣菱って酒も…
勝手に飲んでるが、良かったか?」
そう言って剣菱の酒瓶を
掲げながら錆兎がこちらに見せて来て
「ああ。剣菱は…普段用酒、
日常酒だからな、スーパーでも
コンビニでも買えるから
全部2人で飲んでくれても良いぞ?
福寿と仙介も…飲んでくれ。
奥さん、あっちで髪を乾かそう」
「うん、ありがとう。杏寿郎」
そのやり取りに錆兎は違和感を感じて居て
月城と話をしながら 杏寿郎が
飲んでもいいと言ったので
福寿を飲みながらツマミを頂いていると
和室の方からドライヤーの音が聞こえてくる
「…………今日だから、じゃなくて
あれ…いつも通り…、なのか…あの2人」
「どうかしたのですか?錆兎」
和室の方に視線を向けたままで
何かを見ながら錆兎がグラスを傾けていて
月城が何を見ているのかと
その視線の先を辿って行く
