第11章 ラングラー
ー古森sideー
『古森くん、これ焼いてってもらっていい?わたし何も考えずご飯炊き始めちゃって…』
穂波ちゃんがステンレスの串に刺された肉と野菜のいろいろを俺のそばに置く。
「もちろん!穂波ちゃんはどのくらいで来れるの?」
『でもあと15分とか? わりとすぐ』
「おっけー あとは?」
『あとは、ここにナスを置いていくからたまにひっくり返してあげてくれる?』
「ひっくり返してあげて… それは誰に対する…笑」
まるごとのナスを網に置いていきながら穂波ちゃんは言うんだけど、
多分、ナスに対して、それを言ってて。
かわいいなと思ってつい口に出ちゃったけど聞こえてないみたいだった。
「ナスまるごと焼いたの俺も好き!やったー」
『ねー♡ この鯛は治くんがやってくれるから…
今食べれるもの持ってくるから突きながらぼちぼちやっててね』
そのタイミングで治くんがマリネとかサラダとか持ってきてくれて。
炭酸水にレモン絞って、乾杯してちょっと酒気分で。
ここに酒があったらどんな感じ何だろうってまだ未知の世界に想いを馳せる。
…でも気兼ねなくこの後行けたら温泉行こうとか言えるのは、
酒飲まないからなのかな、とか。 誰か一人運転要員とか、俺はやだなって思っちゃうもんな。
でも俺が飲めないならそれはそれで別にって思うか。
…まぁいいや。
肉が焼けたら小皿にとって、
少し離れたとこにいる穂波ちゃんとこいくかな、って思ってたんだけど。
サラダとかマリネとかだけさっとよそって、
研磨くんが穂波ちゃんのとこにすーっていった。
絶妙な加減。
ずっとくっついてるわけじゃないけど、ペア感がすごい。
なんか、いいんだよなぁ、ほんとこの2人。
肉が焼けたら2人分持ってくか。