第11章 ラングラー
ー治sideー
サーフィン終えて帰ってきた穂波ちゃんが綺麗すぎて
なんか魂抜けてもうたみたいになって海でぽちゃぽちゃやっとったけど
ふって研磨くんらの方見たらどちゃくそ綺麗かって、
首にかけとった防水カメラで撮りたいな、思った。
やから浜に上がって穂波ちゃんらが気付かんように横からカメラ構えた。
「なにかな、撮影?」
「えー確かに綺麗だねーあの二人」
「いや撮影じゃないでしょ、さっきあの2人、ものすっごいキスしてたよ。えっちなやつ」
「え、じゃあこの人は…? 盗撮?(コソコソ」
どこからが盗撮かは知らんけど、これは盗撮ちゃうわ!
そもそも、穂波ちゃんのカメラやし!
「撮影でもないけど、盗撮ともちゃいますよ。友達なんで撮りたなって」
「あ、そうなんですね〜 ていうかお兄さん、イケメン♡ タイプかも〜♡」
出た、夏の海の逆ナン。
サーファーをあさりにきたんやろか、
白い肌で化粧もばっちりした水着の姉ちゃんは俺に近づいてきてぽんって肩に手を乗せる。
「そらどうも。 でも、俺は好きな人に一途やでごめんな〜 盗撮ちゃうよ、て言いたかっただけ」
その手を払って、しっしってな、侑みたいにあからさまにはせんけどな。
まぁ、でもわかるくらいには単調に返事してまたカメラを覗く。
…カメラええな、おもろそうや。
好きな人とか好きなもん、撮ってくん、ええやろな。
それから、なんやろなこう、ばっきばきにエロいやつじゃなくて、
でも結局それが一番エロいみたいな。
あくまでも健全な範囲のでもものすごいあっまいチューをしてから
2人は海の方に向かって歩いてった。
俺ももっぺん海入ろー思って歩き出したら角名も合流して
「写真?」
「ぉん」
「俺動画」
「ほんま?後で見して」
「オーケー」
角名も2人のこと撮りたなったんやなぁ、ってそう思った。
素人がそう思うだけなんやろか、それともプロが見ても、そう思うんやろか。
永遠みたいで刹那的でっていう、
ものっすごい矛盾したっちゅーか、相反した美しさみたいなのを放ってるんやって。
やから、見てたくなるし、残したくなるんやんな。