第11章 ラングラー
・
・
・
研磨くんの手が首の後ろに触れて、それからコツンっておでこが当たる。
「触れてたい、だけ。かも」
『…ん』
「別に、キスもその先も結局、触れてたいってのの進化系なだけ」
『ん、』
「とか言いながら…」
額を寄せて、互いの息遣いを感じながらいると…
顔を傾け顎を少しあげればもう、触れられるところにある別のもの。
柔らかくて暖かい、唇。
触れそうになって、でもやめて… でもやっぱり触れたくて… でも… って何度も
触れそうで触れない、のを繰り返した。
思い切り抱きついてスタートもいいというか止められないものがあるけどやっぱ…
触れてないとこから始まる、この感じは… いつになってもたまらなく高揚する。
「…ふ 笑 矛盾だらけだ。 見てるだけでいいのに、触りたくて。
触れるだけでいいのにもっと欲しくて。 矛盾ってそれでも、嘘とは限らないもんね」
『ん…』
「ずっとこうしてたいけど、離れても平気って感覚もほんと」
『ん…』
「………」
鼻と鼻を優しく擦り合わせて、それから互いの唇が触れる。
啄むように、慈しむように何度も、離れては触れて。触れては離れて。
「…ん、海入る?」
『…ん、海入る』
「行こっか」
『ん、行く』
「…ふ 笑」
あまりにほわほわしてしまって幸せで、
行くって言ったけど立ち上がれなかった。
でも研磨くんが先に立ち上がって、はいって手を差し出してくれて。
その手を取ればもう、あとは簡単だった。
そのまま手を繋いで、古森くんたち… ってあれ?
みんなのとこへと思ったけど、古森くんしかいなかった。
まぁいい、とにかく古森くんのいるとこに向かって、一歩一歩海へと入っていく。