第11章 ラングラー
ー穂波sideー
昨日も思った。
昨日も、これやりそうだった。
でも昨日は研磨くんは普通に服着てたから我慢したけど……
今日は我慢できなかった。する必要がわたしにはわからなかった。
海から上がって、研磨くんがそこにいることの嬉しさったら。
もう、ほわほわ増進剤を摂取したみたいな感じ。
ただでさえほわほわなのに。 研磨くんがそこに、普通に、いるだけで。
「…ん、穂波」
『ん、研磨くん、』
「んと、すごい良いんだけど、流石に公衆の目前すぎるというか……」
『………』
「………」
『あ… ごめっ』
「…ん、別にいいんだけど、良いのかなみたいな。 …だからそんなすぐに離れなくて良い」
抱きついて、首筋に顔を埋めて、それからキスをして。
どんどんどんどんキスをしてキスが深くなるにつれて、
手のひらは研磨くんの裸の上半身を撫でまわって…
もう少しで砂浜に押し倒すところだった。
ここは、公共の場…
慌てて身体を離そうとしたわたしの腰を研磨くんがぐってして、そう言った。
「…これ以上くっつくことはできないけど、
これくらいでくっついてるくらい、まぁ、別にいいんじゃない」
『……ん』
「……でも」
今わたしは膝を立てて研磨くんの伸ばした脚に跨ってる状態で、
研磨くんの胸に手を添えて、片手は頬を包んでて。
抱きついた勢いで研磨くんは後ろに手をついていて、
もう片手は腰に添えられていて。
このまま見つめ合うのとか無理…だし、それに
「この体制って、もう次行きますみたいな、感じだね」
『…ん 笑』
「…ふ 笑 ちょっと、待ってね」
研磨くんはよいしょって脚を広げて。
わたしは研磨くんの開いた脚の内側に正座する。
「…正座 笑 ん、かわいい。 これなら、」
『………』
「え、これなら、何?」
『んふっ…… 笑』
「…ふはっ…笑」
わざわざ体勢を変えて改めて向かい合って、
わたし達は何を、しようとした?
いまわたしたちはどこも触れ合ってない。
でも、結局この状態で見つめあった先って……