第11章 ラングラー
ー研磨sideー
『んふ♡ みんなありがとう… あんまり帰ってこなかったら何かサイン出してね。
じゃあ、お言葉に甘えて… 行ってきまーす♡』
そういって、穂波はおれの頬にキスを落とすと、
サーフボードの乗って、どんどん、沖の方へ。
上手い人たちが集まってるっぽいスポットへと向かってく。
…小さくしか見えないだろうけど、今はそれで十分。
「おれ、上がる」
「俺も。 疲れたし」
おれと角名くんはもう上がることにして、
治くんと元也くんだけ海に残る。
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「…あ、あれ? 今乗ったの穂波?」
「…ん、多分そうだと思うよ」
「……上手いな〜 …普通に上手いんな。そりゃそうか、もうサーフ歴長いし」
しばらく穂波は波を見てたり、
海の上で知り合いに会ったのか話したりしてた。
その間に治くんたちも上がってきて。
みんなで並んで見てる。
「は!?今のくっそかっけー!」
「やっば… ていうか乗ってる時間が長いのはなんなん?」
「ていうか、穂波ちゃんって普通にめちゃめちゃ上手いんじゃないの!?」
昨日穂波が入ってたスポットは、上級者じゃ難しいとこだって。
超上級者が入るとこなんだって、聞かされた。
穂波にじゃないけど。
それは見ればわかった。
でも、見るまでは穂波はスケボーよりはできる、くらいにしか言わなかったから、
あんなに、キレキレな感じで乗るとは思ってなかった。
スケボーはすごい上手い、ってわけじゃないし…
「…ん、多分ね。上手いよね、あれ相当」
「プロがどれほどか知らんけど、めちゃめちゃ上手いように思うしそれに」
「周りのサーファーも見てる感じあるよな」
そうなんだよね、ちょっとハッと息を飲むみたいな。
そんな空気が… 浜から沖にかけて、流れてるみたいに感じる。
それが上手いからなのか、綺麗だからなのかは決めかねるとこだけど。
…どっちもかな。