第11章 ラングラー
ー研磨sideー
はじめちょろちょろ中ぱっぱって何…
なんか妙に覚えやすくて頭から離れない…
まぁいいや、あとで調べるか何かしよ。
「……治くん、さっき、食材の生産者のこととか言ってたでしょ」
「ぉん、それがどうしたん?」
「そういうことも穂波、言ってたなーって」
「すごいよな、あの熱量。 北さん家でも熱弁しよったで」
「…ふ」
「でも俺も俺で、それなりに、あるんやけどな。
でも俺は別に、冷めたおにぎりも伸びたラーメンも美味いな、思う」
「…ふ あはは……笑 たしかに、確かにこれは」
運命も感じたくなるか。
食への何かが似通いすぎてる。
「なんなん、めっちゃ笑うやん。どないしてん」
「…ごめん… ふ…… 穂波もなんでも美味しそうに食べるんだよね。
誰が作った何でも、冷めててもあったかくても。 自分が作ったものでも。
なんていうか、そもそもの素材、に対してリスペクトがありすぎるっていうか…」
自分で作ったものを自画自賛してる感じじゃなくって、なんだろ…
あぁ、大家さんの枝豆おいしい…♡ みたいな感じで食べる。
だから調理するときの心構えみたいなのがそこにあるんだよな、ってのがすごいわかる。
いろんなとこから回見えるけど、そこからも、見えるっていうか。
それは穂波が調理する場合はそうで、そうじゃない場合はやっぱ、
作り手とか一緒に食べる人とか、もっと広くエピソードが盛り込まれて。
美味しく感じないっていう選択肢がないのかな、みたいにみえてくることもある。
「それに、食べることがとにかく幸せみたいで。
だけど、穂波は… あと治くんもきっと」
「………」
「中途半端な料理を人に出したくない、むしろ自分で作って食べたくもない。
みたいな、すごい頑なさも感じる。 人が出してくれたのなら、そんなの微塵も思わずに食べるくせに」
「あぁ…」
「よくわかんない状態で作るくらいなら、塩むすび、握って食べるでしょ」
「よくわかんない状態がよぉわからんけどわかる。
今やっても失敗するわ、いうときとかな。急いどるときとか。そんための漬物やし」