第11章 ラングラー
ー治sideー
「…はじめちょろちょろ、中ぱっぱ」
「え?」
「何でもない、初めて会うた時のこと思い出した」
初めて会うた時から、ドストライクついてきて、
俺、結婚したい、って本気で思った。
ほんでそのまま、伝えたんやて。
──「…俺、将来おにぎり屋やりたいねん。うまい米つこて」
『おぉ…それはそれは …わたし、おむすび屋さんがあったらいいのにって思ってた。
豚汁かけんちん汁も飲めたら嬉しい』
「それ、えぇなぁ。 日頃お勝手仕事するんか?」
『うん、するよ』
「メシたける?」
『…? 炊けるさぁ!』
「初めちょろちょろ?」
『中ぱっぱって。笑』
「いつも何で炊くん?」
『土鍋だよ。だから始めちょろちょろじゃないんだよ。羽釜でも炊いてみたいよね』
「あぁ、ええなぁ。 ほな、俺ら結婚しよか」
『…え?』
「一緒に店やろや、羽釜も挑戦できそうやん、俺らやったら」
『すごい、いきなりそんな将来見えた?笑』
「だから言うたやん、好き嫌い激しいって。
好きになったら好きなんやて、俺」
普通ないよな、って思う。
まだそのあと定期的に会える関係やったら発展もあるやろうけど。
高3ときも大会で会うくらいやったし、
その後卒業してGWに会うて、ほんで今。
そんくらいの、間のある感じでしかも、彼氏おるしなんていうかあれなんやけど。
それでも全然萎びてかんこの感じなんなんやろな。
好きでしゃーないし、他の子なんて考えられへん。
遠距離しとるカレカノみたいな頻度で会うて、
今日食べたメシの話、ちょこちょこLINEで話して、
写真送りあったり、電話したりあと、美味いもんで詰まった小包送りあったりな。
そんだけでこんなに満たされとるっていうか、
気持ちが持続するっていうか、肥えていくんやからまじで、なんなんやろ。
一妻多夫ならありかな、思うけど、
普通に一夫多妻は無理かもな。 男の立場からしたら普通逆やんな、わけわからん。