第11章 ラングラー
ー治sideー
『行ってしまわれた…』
いっちゃん高いもんが入ってるカゴ、
魚介とか肉でいっぱいのカゴを、
地元の兄ちゃん?おっちゃん?達が会計して発泡スチロールに入れてほいよって渡して来た。
あまりの唐突な展開に、いやあかんて、なんでやねんってなって、
俺も穂波ちゃんもあたふたしたんやけど、
あたふたしてる間に行ってもうた。
「ほんでも俺ら、お礼はちゃんと言えとったよな?」
『うん、言えてたよね? …よかった』
「これはあれやんな、プロポーズ成功のお祝いやんな?」
『…はっ! 治くん、あのね、』
「あー、もう、ええって、分かっとるわ。分かっとるで言葉にせんでええから。
ちゅーか、聞きたないから、言わんとって」
『……』
「ほんでも、ぼんやりしながら、うん。って言ってまうだけのなんかがあったんやろ?」
『うん』
「それが分かったで、かなり儲けもんやし。まだまだ脈あり、やん」
『脈なんて…』
「…ない?」
『脈なんて… あぁ…』
「なんそれ、よぉわからんけどおもろい。 ほんなら帰ろか」
2人とも買い物したもんで、両手塞がっとるから手なんか繋がれへんけど。
ええねん。 こういうのがまた、ええねん。 普通で、最高や。
車乗って、キャンプ場に戻る…… 前に!
「なぁ、あの兄ちゃんたちに持ってかれてうっかりしてたけど
出口出たとこにソフトクリームの店あったよな?」
『…あ、あった。あったね、あったあった』
「食うてこ! 俺買ってくるわ、ちょっと待っとって」
『いいよ、わたし買ってくる。 治くんここにいて?』
食材もあるしエンジンかけたとこやし、
ソフトクリーム買い行くくらいどっちかが行けばええやんって思う。
別に俺が行けばいいんやけど、あれなんやって。
両手にソフトクリーム持って帰ってくる穂波ちゃんが見たいと思ってしもた。
「ほんならよろしく頼むわ。味はまかせる!」
『うん、任せて♡ 食べ合いっこでもいい?』
「ええに決まってるやん」
『じゃあ違う味買ってくるね!』
そう言って助手席のドアを開けて小走りで店に向かってく。
あーかわいい。
食べ合いっこなんて、良いに決まってるやん。