第11章 ラングラー
ー治sideー
『治くん見て見て!』
にっこーって両手で卵のパック、
プラやなくって紙の方のパック持ってこっちに来る。
あかん、穂波ちゃんと旅先の道の駅で買いもんとか、あかん……
マジで欲しなる… いやもう、ずっと欲しいねん、俺はこの子がずっと欲しいねん。
「平飼い有精卵やって。 ええな! それで明日、卵かけご飯しよか!」
『ね♡ しかも、』
「10個玉300円切ってるやん! やっす。 平飼いやんな、有精卵やんな!」
『ね、ね、だからさ、明日の卵かけご飯の分とあと…』
「もう1パック買おうや。煮卵でも作っとこ」
『うん、うん!』
ほらな、なんかウマが合うんやってマジで。
お互い無理に合わせたりしてへんのやで。
あかんやんなこれ、ほんま、諦められるわけないやん。
『このかぼちゃ美味しそう〜 とか言いつつ、』
「かぼちゃ切ってみんとわからんよな」
『そうなのー 治くんに目利きの仕方教わろうと思ったのに』
「ははっ でもええやん、一緒に探してこ? わかったら逐一報告な」
『うん!』
「それに、」
『作ろうと思ってたメニューやレシピに合わなそうだったときの、変更もまた楽しいよね』
「そーそー、それそれ! なんや水っぽいなーなった時の対応な。 あれ大事やって。
だって、野菜に罪はないし、生産者にもどうしようもないことあるし、
それにせっかく料理すんなら、ベストに近い形で調理してやりたいよな」
『うん、うん、うん! わたし治くんの、食材に対する目や手つきが大好き』
「ほんま? どんなんかわからんけど、穂波ちゃんのこと触るときも同じように触ったるで?」
『わぁ〜 それは気持ちいいだろうなー♡』
「ぶひゃ! それでええのん? そこはおさみゅきゅんの出番とちゃうん?」
あかん、食いもんの話になると家におってもテンション上がってまうけど、
穂波ちゃんとおるとちょっと、ツムみたいになってくる時あるわ。
なんや、盛り上がってまう。
でもええねん、この子は、俺とツムを比べたりせーへんもん。
俺は俺、ツムはツム、で普通に見てくれてるのがわかる。