第11章 ラングラー
ー治sideー
『治くんたちは朝何食べた??』
はぁーーー… 大したこと一つも聞かれてないんに、この破壊力なんなん。
LINEでも十分楽しく会話しとったけど、やっぱ生はちゃうなぁ…
「角名ん家で卵かけご飯食ったで」
『きゃー…思い出すと唐突に食べたくなるそれ』
「やんな! 後でうまそうな卵あったら買って帰ろか」
『うん、うん!』
「昼何しようなー? あ、飯炊いたのあんで」
『わ!ほんとに! じゃあご飯の方向で考えたいなぁ』
「ええよ、ほんなら……」
お互いに持ってきとるもん話して、作戦会議や。
あかん、5月に北さんとこで会うた時もやったけど、マジであかん。
一緒に料理してストレスないどころかずっぶずぶにハマっていってまう。
侑はどっか、吹っ切れたみたいなとこあるけど、俺はそういうのないんやってな。
今でもマジに、浮気相手でもええから俺のこと好きになってくれんかな、って思てる。
『お店はどう?』
「ええよ、どっちもええ店。店主もええ人やし、また来てやって言いたいけど」
『うん』
「アメリカから帰ってきた頃にはもう、店やってたらええけどなぁ」
『うん。 でもどっちでも。 準備もいろいろあるだろうし。
治くんのお店じゃなくても、治くんがいるお店なら行ける時は必ず行く』
「ぉん。 来てな」
『うん、いく♡』
「ほんで、結婚しよな」
『んふっ 治くん、ありがとう』
軽くあしらうでもなく、でもシリアスに重くするでもなく。
ほんまにありがとう、おもてくれてんねやろな、穂波ちゃんはそう言って笑う。
あー、まじで欲しなる。