第7章 su casa
ー研磨sideー
あとはおれらがゆっくりやることだから、
いつでも帰って大丈夫。って伝えたんだけど、
居心地いいからって、おれらが片付けしてる間、
4人で縁側に座ってまったりしてる。
周平と、クロと、福永と虎。
「なぁ、研磨」
縁側の面した部屋にちょっと用事があって入ったら周平に呼び止められる。
「夕飯どうすんの?」
「…んー材料とかないし、大変だろうからどうにかする」
「なんか買ってくるからさ、ここで食って行ってもいい?邪魔?」
「…いや別に、邪魔じゃないけど」
「じゃあそうするー」
「…ん」
穂波は台所でなんかいろいろしてる。
どこに何しまおうかとか。
どこに何が必要かとか。
…楽しそう。
「穂波、これ。どこにしまう」
『それ、ここにしまおう?』
嬉しそうにカップボードの引き戸を開けて、指差す。
3年前の誕生日にくれた、貫入のカップ。
穂波とお揃いのやつ。
『グラスはこっち、カップはこっち。お皿は…』
「…ふ 」
『…?』
楽しそうに呟きながら片付けをする様は、
まるでディズニーのアニメみたい。
なんか、歌いながら踊りながら、何かしてる感じ。
調理器具も皿も最低限よりちょっと少ないくらいだけど。
値段じゃなくって、ピンとくるので埋めれたらいい。
kintoの平皿とあとはsnow peakのプレート。漆の汁椀。湯呑み。
…カップボードの中にはそれくらいしかない。
飯椀はちょっと、選びたいなっていうか選んで欲しいなっておれが思って。
陶器作家の展示会とかちょっと調べた。
グループ展示みたいなのがあるのを知ったから、そこに行ってもらう。
おれがいくかはちょっと、わかんないんだけど、
父さんと行ったらいいんじゃないかなとか思った。
貫入はカビたりするらしいから茶碗は違うのにしよっかって話してるけど、
貫入のもあるらしいし、なんとなく。父さんもきっと楽しいかなって。