第7章 su casa
ー穂波sideー
駅ビル内にあるデリに入ってランチ兼休憩。
写真を撮っておいた型番を紙に書き起こしてから
打ち直してみんなにまとめて送る。
このあとは決まるかわかんないけど、家具を見ようって。
どこで見るのかな、まだ聞いてない。
そういえば、こんな風に同棲に向かって進む前。
すごく自然な流れで家具の好みとかについて聞かれた。
うちの両親が好きな大阪の家具メーカーの話をした気がする。
truck furniture。 それから、千葉のおじいちゃんが作る木工のこと。
うちにある大きなものは大体その2つが仕入れ先で、わたしもすごく好き。そんな話。
「とりあえず、現実的に、無印に行こうかなとか思う」
『…とりあえず、現実的に?』
「穂波の実家の家具、おれも好き。だし、古民家にも合うと思う。
でもなんだろ、だからって一緒にしたいわけじゃないし… んーと…
まぁいろいろ現実的に考えて、今じゃないかなって…
そのうち、別のとこに住むならその時に…とか……
あ、でも今から見に行くのも、とりあえず、とかいつか捨てるしみたいなのはしっくりこないから……」
『…研磨くん?』
いきなりの饒舌かつ、早口かつ、もごもご感。
かわいい… でもどうしたの?
「ごめん、ちょっとよくわかんない。いろいろ先走りすぎてて、どう伝えたら良いかわかんない」
『無印良品の家具、いいと思う』
「天然木材のやつ、いろいあるから、味出てくかな、とか」
『うん』
「仕事部屋とゲーム部屋はちょっと色味変えるけど…
スチールラックとかポリプロペンのケースとか、無機質な感じのも結構あるよね」
『うん、うん』
「リビングはこたつの机が来るし、ダイニングのものと寝室のもの。
無印ならシーツとかも買っちゃえば良いかなとか」
『うん、うん!』
「いろいろ探すって感じでもないし…」
『わかるよ、時間もないし、決めちゃいたいし。無印良品なら間違いない、感じあるよね』
「ね」
『それに実際、家具はちらっと見たことあるくらいだけど、良さそうだよね』
「うん、よかった。 あ、でも食器はさ……」
溢れ出てくる研磨くんの、巣作り本能みたいなもの。
こだわり、みたいなもの。
こんなにそばで見られて、楽しい。嬉しい。幸せ。