第7章 su casa
ー研磨sideー
『それでね、昨日帰ったらみんないたって話したでしょ』
カズマの家族と、周平の家族がいたって。
カズマがスケボーショップに連れてってくれる話は聞いたし、
昨日のうちにカズマからラインが来て日取りを決めた。
「うん」
『みんなね、何かおくりたいんだって』
「…みんな?」
『将輝さんと蘭さん。周平の親御さん。周平。うちの親。お兄ちゃん』
「…え、カズマからもらうし。 ていうか何で周平と周平の親が別……
アキくんなんか、まだクリスマスの分返してないし」
『研磨くんに聞いてみるねって言ったんだけど。
それはね、もう必要ないって言われたの。強制投資だから受け取って倍返しでって。
それは冗談だろうけど、みんな、研磨くんにお祝いをしたいみたいなの』
「………」
『みんなね、お金包む気はないんだって。そしたらほんとに投資みたいでやなんだって。
よくわかんないでしょ。 とにかく物をおくりたいらしいの」
「…それはつまり」
『ここで見繕って、決めたらそれを教えてって』
「…それなら」
『うん』
「マサキさんからはなんか… デザイン画?とか欲しいし。
周平のお父さんにはそのうちリノベーション頼むかもだし。
シゲさんには写真もらいたい。心さんからはなんか、ブランケットとか簾とか。
周平は引っ越し手伝ってくれるからそれでいいし」
自分で買えるものは買うから。
でも何かくれるっていうなら、その人たちの職や趣味に関わるもの…… あ、そっか。
『…ふふ ね、きっとそういう風に関わっていくんだろうなってわたしも思う。
みんなもプレッシャー与える気はないだろうけど、研磨くんにそんな気配を感じてて。
だから敢えての、敢えての家電なんじゃないかなとか思ってる。
…ちなみに周平のお母さんは税理士さんだよ』
「…ん、わかった。 じゃあ…」
今はありがたく受け取って、
今よりもっと稼いで、例えば何かのデザインとか。例えば部屋の改装とか。
なにかしら必要になったら、仕事として依頼すれば良いんだ。
アキくんじゃないけど、おれが稼いだお金を回してけばいい。
もちろん、身内だからとかなんかしてもらったからとかそういうやつじゃなくて。
ほんとにみんな一流の仕事をする、それからセンスも合う人たちだから。