第6章 リレー
ー穂波sideー
「あーあ、その顔。全然違う。 穂波って残酷だよね、結構」
浴衣を着つけるべく再度近くで向き合ったカズくんが、そんなことを。
『んー?』
「まぁ、いいけど。おれにもきっと、その顔させられるから」
『ねぇカズくん』
「なに?」
『今度さ、たこ焼きパーティーしよ』
「パーティーである必要ある?」
『…笑』
どうしてこの2人は、そのままそれぞれらしいままに、
どこか被せてくるんだろう。
それぞれで大好きなひとが、そのまま、重なってくるとなんとも。
セットにするつもりは毛頭ないのに、
でもどこか2人っていうカテゴリが生まれて、愛おしさを倍増させる。
共通項がなくてもそれはいろんな通りであって。
言わずもがな、クロさんと研磨くん。
それから翔陽くんと研磨くん。
山本くんと。 福永くんと。
犬岡くんと。 リエーフくんと。
あと蛍くんと。 京治くんと。
そういうのってなんなんだろう、わかんないけど。
とにかく愛おしさが増すばかりで。
あぁ、人って、組み合わせって。 楽しい。 愛おしい。
『パーティーである必要はないよ。笑 ただね、丸いものいっぱい集めたい』
「プチトマトととか?」
『うん、どう?』
「いいけど別に」
『たこ焼き、プチトマト、アイスの実…他に何が用意できるかなぁ…』
メロンをくり抜いたり、葡萄だったり。
チーズもまぁるいのあるし… カステラとかチョコとか…
作ればその種類も数も無限大だけど、既製品を一緒に探したりしたいなぁ。
「一緒に探せば色々見つかるかもね、研磨も一緒にするんでしょ?」
『ね、研磨くんも一緒に3人で探したいな』
「…うん、よくわかんないけどいいよ」
うん、わたしもよくわかんない。
3人でしたいことって思ったらアイスの実がすぐに浮かんで、
このあとお祭りで食べるたこ焼きも丸いなって思って、
そんなことが頭の中で繰り広げられただけ。
でも後付けの理由だけど。
そんなこと自発的には絶対にしないであろう研磨くんとカズくんと、
丸いものだけを食べるたこ焼きパーティーだなんてきっと、
3人でやる楽しさ、あると思うんだ。