第6章 リレー
ー研磨sideー
「参加しちゃダメ。出てって、って言いたいけど。
浴衣崩れてるどころじゃないね」
カズマ、ただ羽織ってるだけじゃん。
『そうなの、今着付けるからね』
「…だめ、まだ。 何したの、カズマと」
『…んとね』
「キスした、いろんなとこに。それだけだよ。それだけなのに」
「…」
「穂波がエロいことも、おれの事嫌いじゃないことも、わかった」
「…」
「もういいでしょ、穂波のこと離してよ」
あまりにもマセた、そのくせ全然いきがった感じのない、
そのままのカズマの調子に、あっけに取られながらも煽られるとこだった。
じゃあ、おれとカズマでよがる穂波の姿見比べてみる?
全然違うから、絶対。
とかあらぬ事、言いそうになるよね。
それは無理でも、おれと穂波がしてるとこ見てたら?
勝ち目ないってわかるから、とか。
何を根拠に言おうとしてるのかもわからない、
だっさいマウントみたいなこと。考えてるおれがいて、チョット引いた。自分で自分に。
やっぱ、カズマは、要注意人物だ。
普通にかっこいいとことか、いけすかないやつじゃないとこが困る。
…それからやっぱ、伸びしろ半端ない。11歳でこれだし。
「…じゃあカズマにされたキス、おれにしてよ穂波」
『…』
「上書き、自分でして」
消えるわけじゃないし塗り潰せるわけでもないけど。
『やだ』
「ん?」
『カズくんがしてくれたのと研磨くんにするのは一緒にできない。
研磨くんにするキスは、研磨くんにするキスだから』
「…」
『それでもよかったら、キス… させてください』
「…笑 ん、どうぞ」
妙に改まって頼んできた穂波の腕がおれの首に巻きついて。
穂波の甘い、甘いキスがおれを溶かしてく。
穂波の舌が柔らかくおれの舌を絡みとり、
時折甘い息を漏らし、長く口付けたあと吸い付くように
名残惜しむようにゆっくりと、ねっとりと離れていく。
「…ん」
なんかすごい、骨抜き…みたいな感じになってるかもおれ。
ほんと、キスだけでわかる感じ。
穂波がエロいことも、穂波にはおれしかいないってことも。