第6章 リレー
ー穂波sideー
到着するやいなや、
あんな色っぽい声をわたしに浴びせて。
それから、 ふ って笑って、あっち行こって言う。
研磨くんはいつもいつもずるくて、かっこよくて、最強だ。
「…そんな顔してたら、意地悪したくなる。
ちゃんと、後でたっぷり穂波にのこともらうから、もじもじしないで」
『………』
欲しいでもあげるでもなく、
いつも使わない、もらうって言葉にさえ、身体が疼く。
『研磨くん…』
「ん?」
『欲しいよぅ…』
「…笑 だーめ、ちょっと、我慢して? あ、マサキさん。 ちょっと行って来るね」
そう言ってスタスタっと、カズくんのお父さんのとこに行ってしまった。
計算か、天然か。
きっと今のは天然の賜物だ。
煽られ、焦らされ、早速わたしの身体はいつでも研磨くんを迎え入れたくなっている。
身体が熱る。
何か、他のことをしないと。
「穂波ー」
『ん?カズくんどうした?』
振り向くと浴衣がずいぶん着崩れたカズくんがいる。
『あれ?なにがあった?』
「遊児たちのわやくちゃさわぎに巻き込まれた…」
『遊児… カズくんお疲れ様。 浴衣、上で直そっか』
「ん、ラッキー」
『ん?何か言った?』
「ううん、なにも」
遊児とおばちゃんたちも宮城から来ていて。
遊児はここで出会って、毎年ここで顔を合わせる友達になった子らとはしゃいでる。
何をしてるのかは、正直よくわからないけど、
カズくんを巻き込んでしまうあたり、すごいと思う。
あんなクールな子を巻き込もうと思う心意気が、すごい。
ささ、部屋でカズくんの浴衣を着付けし直そう。