第6章 リレー
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「クロ、冷蔵庫に何か入れてなかったっけ?」
「あ!そうだったわ!あぶねー」
玄関で靴を履こうとしてたクロがすたすたと家の中に戻っていく。
それからさっき冷蔵庫に入れてた紙袋を持って戻ってくる。
紙袋には喜久水庵って書いてある。
「ここのさー、喜久福って大福?のずんだ生クリームがさー、すっげ旨いの。
いや全部旨いんだけど。ちょっと人数分は無理だったけど多めに買ってきた。
あ、研磨ん家には別で冷蔵庫いれてあっからまたおばちゃんと食えよ」
「…ん、ありがと」
穂波、和菓子好きなんだよな。
ずんだ餅好きとも言ってた。喜びそ。
クロや穂波とは歩き慣れたこの道を、
周平も一緒に歩くのは初めてで。
ちょっと新鮮な感じがありつつも、別に、周平だし。
なんてことない。 おれも、なんかちょっと、変わったな、とか思う。
「いやでも研磨はかわんねーな」
「え?」
「あ、そうなの? 研磨の幼少期とか地味に気になるんだけど。
っていうかさっき、すげー周り気にしてたとか言ってたじゃんw」
「いやまぁ、変化はあるんだけど、結局研磨だよな」
「あー、穂波に言わせるとそれ」
「………」
「金太郎飴ってやつだわw」
「ぶはっ 笑」
「研磨言われたことない?」
「…ある」
「切っても切っても研磨くん、っつって言われた?w」
「…ん」
「いやそれはな、穂波は本気で言ってるからな、何の揶揄もなく。
でも側で聞いてると結構ウケるんだよな、変に具体化して想像しちゃってさ」
「いやマジで想像したわw 切っても、切っても、研磨が出て来る金太郎飴」
「結婚式の引き出物にしたらいいんじゃね?w」
「え」
「は?」
「いやなんでもない」
何でみんな普通に、ケッコンシキとか言うんだろ。
そんな、して当たり前のもの…?