第6章 リレー
「あー、それわかるわぁ。可能性ないのに何でかショックはないっつーか」
「あれなんだろうな?まぁ俺はほんと一瞬の出来事だったからな。周平は長いじゃん?」
「まーなー幼馴染だからな。でもさ、鉄朗は制御かけての一瞬だろ?」
「そーね、研磨の彼女じゃなくて出会ってたらわかんねーよな」
「別にいいのに」
「お前なぁ… お前がよくてもな、いやお前がいいからこそな、こっちはな…」
「研磨がいいって思ってても、肝心の本人がこっち振り向く可能性ゼロに等しいからな」
「そうなんだよ、なのにいちいち…」
「あれ?いけんじゃね?って思わせる天然たらし具合な」
「いやほんとそれ。 周平は? なんかアクション起こしたことあんの?」
「キスは一回だけした。まだガキのころだったけど。
なんだかんだ3年会ってなかったからな、帰って来るまで。
帰ってきたら研磨いるし、それ以降はなんもねーっす。
鉄朗と違って、彼氏持ちには手、出さないんで!」
「それ、俺理解しかねるわー」
「お、下衆鉄朗」
「いや下衆じゃねーし別に」
「…でも穂波もそんな感じだよね」
「お、研磨まだ話聞いてたんだ」
ゲームしながらだけど、別に。
聞いてるっていうか。聞こえるっていうか。
「彼女持ちにも手、出すの?穂波。 それやばいだろ、あのタイプは」
「いや、多分そういう意味じゃなくて」
「彼女が居ても彼氏が居ても、好きは好き、みたいな感じだよな」
「あー、なるほど。 まぁ、それは俺もそうっちゃそうだけど」
「まぁ、だから数多くの男たちに好意を寄せられて、
想いを伝えられても尚、普通〜にそれまで通りに接するんだよな。
あれな、癒しと打撃同時にくるんだよなー」
「…笑」
「おい研磨、笑ってんじゃないよ」
「笑ってない」
「いや、笑ってんだろ」
「いやでも鉄朗の言わんとしてることはわかるわ!
癒しは普通に癒しじゃんね、あ、俺のこと拒否しねーんだ、とかそういうの含め。
打撃は、あれ、俺って完全にアウトオブ眼中?みたいな。意識しろし!みたいなね」
「そうなんだよなー でも男に見られてないわけじゃねーんだよな」
「いやまじ天然たらし恐るべしだよな」
そのワード、今日初めて聞いたけど。
何回いうんだろ。