第16章 釘
ー遊児sideー
…腑に落ちねーんだべや。
なんでこんなチャラいバレー選手と穂波が仲良くなってんの?
チャラいのは俺だけでいいのに。
しかも研磨は研磨で、先週のインスタライブで我関せずの発言。
あいつらほんと意味わかんねーとこあるんだよな。
──2回目のインスタライブではスパチャがオンになってて
投げ銭投げ銭… ゲームについてのガチ質問が半分。
半分は研磨、会社、それから穂波についてのコメントに対して答えていってた。
「…そ、bouncing ball、おれの会社。
まだ立ち上げたばっかでそんなこと言ってもって感じだけど今更隠してもだし。
…あぁ、うん、すごいでしょ。会社として初めての仕事があれ。
…ダンサーの女の子は、うちに所属とかはしてないし、特にしばるような契約はしてない。
おれが、惚れ込んで、いろいろwin-winになるように話持ちかけただけ。
…出会い、か。覚えてない。たまたま踊ってるとこみて、まぁ、そんな感じ。
…宮選手?知り合いではあるけど。別に、それ以上でもそれ以下でも、今のところ。
ダンサーの子と付き合ってる…? あぁ、宮選手が? そんなのおれが知るわけないじゃん。
カズマ? カズマのお父さん… マサキさんに仕事でいろいろお世話になってて。
今の仕事っていうか、まだ何も知らなかった頃にいろいろ教えてもらった。
…あ、いや経営とかじゃない、株のこと。
…あ、うん。おれ、トレーダーもやってる。
ダンサーは日本人か? …それいう必要ある? あのダンスみてもそんなこと気になる?
今がいつか、ここがどこか、性別はなにか、国籍はなにか… そういうの吹っ飛ばない?
吹っ飛んだ上で、なんか… 今できることしよ、っておれはなるけど…
ま、そんなの人それぞれか」
こんな調子で、穂波のこと褒めちぎってはいるけど
穂波が彼女だっていう匂わせとかは全くなく。
俺だったらもう、じゃじゃーん!って自慢してーし。
できなくても匂わせくらいしちゃうだろうし。
研磨も、少しくらいすりゃいいのに…
俺は研磨だから引いてるってのに、
研磨が他の男が近づくの許すんなら俺ももう少しいいんじゃん?とか思っちゃうじゃんよ。
…で、それ思うの絶対俺だけじゃねーし、それが厄介だべ。