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【ハイキュー】 続・波長 【孤爪研磨】

第16章 釘


ー穂波sideー









侑くんとの最後のディナー。
今回の、侑くんの滞在でのという意味の、最後の。

日本の洋食を作りたいと思った。

揚げ物を揚げるタイミングでは流石に、抱きつかれてると危ないので、
言うことを聞かない、お利口さんじゃない侑くんが何やら言っていたことに、
半ばはいはい、と言った感じで頷いてしまった。理解もせず。

そしたらすっと侑くんが一旦解放してくれたので、
お利口さんだね、と言ってみたら





「ごめんな、今回はそうでもないんやで」





って言われた。
よくわからなかったけれど、
申し訳なさそうな、でも意地が悪そうな絶妙な表情に、
もともと持ち合わせている色気が乗っかったたまらなく魅力的なその表情に、
深く考えることを忘れて次の作業に移った。









…なんだったかな?









と思いつつ。
今は食卓にもう、ご飯が並んだから。

今は目の前にあるご飯と、目の前にいる侑くんに集中。










「うわぁ、なんかワクワクすんな!」

『ね、日本の洋食って本当わくわくするよね』










エビフライ、カニクリームコロッケ、小さめサイズで作ったデミグラスソースのハンバーグ。
千切りキャベツにスライスしたきゅうり、プチトマト、ブロッコリー、ポテトサラダ。
オニオンコンソメスープ、平たいお皿によそったライス。


もっともっと作りたかった。
グラタンも、シチューも、オムライスも、カレーライスも。
けど欲張っても明日の午前中には侑くん、日本に帰っちゃうし…










『作りたりない分は今度、また絶対作る』

「…ぉん、わかった。 …ほんなら、ええ?」

『うん、もちろん!どうぞ』

「いただきまーす!』

『はい、召し上がれ』










侑くんはもりもりぱくぱくと口いっぱいに頬張って食べてくれる。
小指の爪の先っぽくらいの食事は、提供できたかな、とか思いながら
その幸せな光景を眺める。









食事を作らせてもらえることは幸せ。
そして、それを美味しいと言ってもらえることはこの上ない、幸せ。











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