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【ハイキュー】 続・波長 【孤爪研磨】

第16章 釘


ー侑sideー






「なんでそんな目で見るん? 今そういうとこちゃうって」





むっちゃ優しくて、むっちゃかわいくて、むっちゃエロい目で見てくる。
俺のこと好きやぁっていう目。

でも今、穂波ちゃんと海入れる最後のタイミングで、やらかしてまって。
それどころやない。





『ダイジョーブ。いくらでもかっこいいのこの辺のお店に売ってる。まだ開いてる』

「確かにそうやん!」




ホテル代が浮いたで相当余っとる。
物価高いでマジで節約せなあかんって当初はおもっとったけど…
メシ代も自炊いうか穂波ちゃんが作ってくれるんがほとんどやったから
折半しても外食とは桁違いに安く済んだ。





『…あと、こんなこともあろうかと』

「…」

『一枚、水着持ってきた』

「…マジで!?」

『うん、車にある』

「うわぁ、女神に見えてきた!」

『…笑 そんなにも?』

「そんなにも!だって、ここでの俺らの日常みたいなん作られてくん、
めっちゃ楽しかったし、ほんまに幸せやったんやもん?
その最終日にこんなポカしてまって悔しかってん」

『…』

「…え、えっ なんでなっ…」





なんでか知らん、穂波ちゃんが泣き出してまった。
俺にとっては、春高で一緒に烏野と音駒の試合観た時以来の涙。
あん時は悲しい涙では1ミリもなかった。
今も悲しいわけではなさそうやけど… なんやちょっと… 寂しいんか?

立ち上がって穂波ちゃんを抱きしめる。
立ち飲みくらいの高さのテーブルにあつらえられた高めのスツールに座っとるから、
立ったまんまでも俺の肩らへんに穂波ちゃんの頭がくる。
穂波ちゃんが立っとる時より頭の位置高い。





『…ありがと』

「ぉん。どないしたん?」

『ただ、侑くん、わたしと同じこと思っててくれたんだって思ったら嬉しくて』

「…」

『侑くんとの時間が積み重ねられて、2人の日常が出来上がっていくの、
すっごく楽しくて、すっごく幸せだった。…まだ一緒にいれるけど、でも』

「わかったわかった。もうええよ、全部わかった」

『ん…』






喋っとったら余計泣いてまうかって思って遮ったけど
なんでかまた余計に泣いてまった。
ぐーって俺の背中に腕回して、Tシャツぎゅって掴んで。





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