第16章 釘
ー研磨sideー
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「…ほんで、キスマークつけました、すんません。
もうそん時は、最後まではやっぱでけへんって思って止まるくらい冷静になっとって。
やから、やったらあかんやつやってわかっとってやりました」
「………」
「…んで、それで穂波ちゃんイった」
「……はぁ」
穂波、いわゆる溜まってるってやつだ。性的欲求が。
やっぱり、アブナイ組み合わせだったな。
でももうそんなの今更。
…ていうか、実際、キスだけで完結してるとこが、逆に厄介じゃん。
やっぱ侑くんって巧いんだろな、とか。
「…ま、いいや。 それで、どうやって治ったの?」
「…は、あ、俺のが?」
「うーん、どっちも」
「俺は、まぁ気合いやな。しずまれーいうて。なだめながら時間に解決を委ねた」
「…で、どうやって穂波を鎮めたの?」
穂波がしずまってくれないと、いくら気合いの使い手でも、無理でしょ。
そんなのわかる。
「…メシ食いたい、腹減ったって言ったらなんか、スパって切り替わりよった」
「…あぁ」
容易く想像がつく。
落ち着くところにたどり着いた。
「…ん、もう大丈夫。わかった。
そこからの泊まっていったら?だし、一緒にいたい、だね」
「なんやもうわけわからん。取り乱したり、せーへんの?」
「…よくわかんない。 独占欲も所有欲もあるから、
いや普通に牽制しようと思ったらできるし、どうとでもできるし、
今の穂波だったらそれも喜んで受け入れると思う。
だってほら、穂波おれのことすきだし。
でもなんか違うんだよね、籠の中の穂波は見たくない。のびのびしててほしい。
…ってこれが一番、縛り付けてるのかなとか思ったこともあるし今でも思う時あるけど」
「………」
「まぁ大丈夫。 穂波はおれのだから」
「………」