第16章 釘
ー侑sideー
聞きたかったんはそれか。
穂波ちゃんの口からは話されんかったってこと?
それとも裏どりしようとしてんのかな。
…疑心暗鬼になっとってもしゃあない、2人のことは2人のこと。
ほいから、俺と研磨くんのことはこれまた俺と研磨くんのことや。
「キス以上のことは、 …してへんよ」
「…ふーん」
「俺からはな」
「…どうぞ、続けて?」
エッロ… この状況で、促すん?
かっこつけもせず、うわずったりもせず…
いつも通りの淡々としたトーンで、どうぞ、続けて?やと?
あかん…研磨くんと話しとると、新しい扉開いてまう……
「穂波ちゃんには乳首触られた。海で。
一人でサーフィンしてきたあと、俺んとこきたんやけど。
そん時にはもう出来あがっとって。
無意識の領域みたいな感じで、なんぞかんぞして、触られた」
「…ふはっ 一歩間違うと犯罪じゃんそれ。 よかった侑くんで」
いやなんでそこ笑てられるん?
まぁ確かに、一歩間違うとやばいけども…
そういう間違いはしなさそうなんはなんなんやろな、穂波ちゃん。
「あとはまぁ、単純にもうエロいわ。振り切っとる感じ。
危ないであれマジで、ほんまに振り切ってんで」
「うん、わかる。 想像はついてる。 だから侑くんいてくれたら安心」
「………」
「…で? キス以上のことはしてない侑くんは、何したの?」
「………」
「…大丈夫、東京湾に沈めたりしない」
「いや今それちゃうやろ… なんなんその余裕」
…ほんま敵わんわ、研磨くんには。
「キスで腰抜かしてもーて」
「…へぇ、いいな」
「………」
「………」
「え、どういう意味?」
「え、おれもそのくらいキスしたいなって、穂波に」
「あぁ、そっちな」
いや普通そうやんな… いや普通ちゃうけど。
でも俺今、研磨くん俺のキスで腰抜かしたいんかなって思ってまった。
ほんで、お望みなら俺は喜んでしたい、って思った。
…やば、何この2人。
2人して沼やん。