• テキストサイズ

【ハイキュー】 続・波長 【孤爪研磨】

第16章 釘


ー穂波sideー








「なぁ穂波ちゃん、腹減った!メシ食いたい!
もう腰大丈夫なんやろ?」











侑くんが、いつもの調子でそんなことを言う。

お腹が空いたと言われては。
ご飯食べたいと言われては。

わたしの矢印はできる限り真っ直ぐにそちらへと向かう。










『…うん、もう大丈夫。ご飯作るね、シャワーさっと浴びてくる』

「はーい」

『…あ、えっと、好きに過ごしててね』










さーっとシャワーを浴びて、いざキッチンへ。










少ししてから侑くんがやってきた。
水もらっていい?って言われて、どうぞどうぞそこにあるの飲んでね、とか言って。

そのままソファか椅子かに座るかなって思ったら、
こちら側にやってきて後ろから、ぎゅって抱きしめられる。










「…今日、なにー?」

『あれ、お買い物しながら話さなかったっけ』

「話してへん。食材の話ばっかして、何作るかは頭ん中で完結しとるっぽかった」

『…そっか、そうだったかも』










治くんとお買い物をした時は、もう事細かにこれはどんな風に調理して…って
そんなことまでいちいちお互いに口に出していた。

でも侑くんとはそうだな、これ食べたいね。とか。
パスタにしよっか、とかそういう感じの、会話。
どんな献立にするかまでは、話さない。

どちらがどうとかではなく、どちらも愛おしく幸せな時間。










「それによくない? 今日なに? ってなんか、今日だけやないみたい」

『…確かに』










そう言われると確かに、とても幸せな言葉で、それから幸せな感覚だ。










『…今日はねボンゴレビアンコ』

「あさりのやつ? パスタが食べたいって俺言った!」

『…ふふ、そだね。言ってたね』










それだけでこんなに嬉しそうにしてくれて。
もふもふの狐のしっぽがぶんぶんふぁさっと揺れて身体に当たってるような気がしてくる。










/ 1069ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp