第16章 釘
ー侑sideー
「服を脱いで…なんやったっけ。 …あ、」
暗くする、や。
ベッドの横にあるスツールに置いてる電気のリモコンに手を伸ばして、
部屋を暗くする。 ほんまは見てたいけど。
今はそういう時や。
間接照明もつけてへんから、部屋はだいぶ暗い。
抱っこしとったしドアちゃんと閉めてへんから、廊下の電気が入ってくる程度。
『………』
「暗くする、の次なんやった?」
『………』
「…言われへんの?ここまで覚えとるのに?」
そんなこと喋りながら、
うちくるぶしからつーっと内膝に向かって指を這わす。
脚が逃げるように小さく動く。
そんなん意味ないのにな。
「…身体使って思い出させてやらなあかん?」
『…あつ ……熱くなる』
「…お利口さんやな、穂波ちゃん、自分で思い出せたやん」
顔の横に手をついて、
両足開いて身体を跨いで。
覆いかぶさるようにして穂波ちゃんを見下ろす。
逃さへんし、逃げれんやろ?
じりじりと顔を近付けて、またキスをする。
さっきの続きや。
舌絡めて、吸って、また絡めて。
手はさわさわと腰の方を行ったり来たり。
ワンピースの裾を少しずつ捲り上げてく。
「…なぁ、熱くなるってどういう意味?」
『…そっ んぁっ』
耳元で息吹きかけるように囁けば。
甘い甘い声を漏らす。
「何でそんなかわいい声出すん?」
『…だっ て …侑くんのイジワル……』
「…なんそれ、煽ってんの?」
『………』
小刻みに首を横に振る。
意図的に煽ってなくてもこっちが煽られとったらもうそれは煽ってるんやで。
「…こんなんしに来たんとちゃう」
『………』
「ただ一緒に過ごしたかってん」
『………』
「好きやから、当たり前やろ?」
『…ん』
「やけど、触れる距離におったら今までの欲求全部思い出したみたいになってん」
『………』
「…腹減ったし今は、我慢する」
『………』
「でもな、」
もう一個だけ、多分あかんやつ。やらせて。