第16章 釘
深まるキスと昂りつづける熱。
もうあかん、触りたい、思った時
ずずっと、穂波ちゃんの身体が下に向かってずり落ちて行く。
壁に背中あてたまま、ずずずって。
…ほんで、へにゃりと床に座り込んだ。
「…どうしたん?」
『………』
目は潤んどるし眉毛は困ったみたいな形になっとるけど…
別に今しがたやってしまったことを後悔しとるとかそういう風には見えん。
ただただエロい。
膝丈のワンピースもまくれて、腿とかみえるし。
『…腰、抜けちゃったみたい』
手のひら床に当てて腕と脚に力入れて、
いっぺん動こうとしてみたけど、
ふにゃにゃーってもっと体勢が崩れる。
脚がもっとエロい感じになる。
え、俺とのキスで。
胸にも下にも触れてへん、キスだけで。
腰抜かしたん?
…やば。むっちゃ嬉しいんやけど。
「…どないしよ」
『…ん、時間が解決すると思うから、大丈夫。
侑くん、好きに過ごしてていいからね、ごめんねいきなり』
「…痛みはないんやんな?」
『全然。ただふにゃーって力が抜けちゃった、その…』
「その?」
しゃがんで話しかけとる俺の顔見られへん、みたいになって次の言葉を言い渋る。
『…侑くんのキスがすごすぎて』
「すごすぎて?」
『……気持ち …良すぎて。 こんなの初めて』
「………」
こんなの初めて、ってむっちゃ効くよな、男にとって。
アホみたいに嬉しくなる。
「…もっと気持ちよくさせたれるけど」
『………』
「一旦休憩やな、部屋あっこやんな?」
さっき、シャワーの場所教えてくれる時に
穂波ちゃんの部屋はここやって教えてくれた。
すぐそこにある。
『…ん』
とろとろとほかほかに加えてヘニャヘニャになっとる今の穂波ちゃんは、
もうどうとでもできそうやし、どうとでもなってまいそう。
頭ぽんぽんってして、おでこに優しくキスを落とす。