• テキストサイズ

FLYHIGH(ハイキュー)

第13章 新たな風


ー及川side

1週間前ー

「徹、今度のバレー教室の時も猛連れてってくれるんでしょ?」

実家にやってきた姉貴が、リビングルームのソファに腰掛けながら、さも当たり前のように言う

「ああ」

と答えるしか出来ないのは、弟の性なのか

「どうしたの?最後のバレー教室だから寂しいの?」

浮かない表情の俺に向かって、楽しそうに姉貴が訊く

「は?寂しくねーわ、大体ただの付き添いだし」

「じゃあ何でそんな顔してんの?まさかまだ、海外に行ってもないのにホームシックとか」

と揶揄う姉貴

「違うし…ただ…すぐ会える距離じゃなくなるんだなって」

「へー、そんなに姉ちゃんと離れがたいの?」

「姉ちゃんとじゃない」

「じゃあ誰よ?彼女?」

「…彼女…ではない」

「ではない…ってことは、アレか〜徹の片想い?我が弟ながら不憫だね〜相手にされてないの?」

「るさい、そんなことないし!」

「で、なに?彼女にアルゼンチンについてきて欲しいとでも頼むの?」

「それはさすがに無理、彼女まだ高校生だし」

「じゃあどうすんの?」

「まだ…気持ちちゃんと伝えてないから…それだけ心残りで」

「ふーん、じゃあ伝えてから行きなよ」

「…またそんな簡単に」

「そう言ってほしかったんじゃないの?」


さすが姉…図星だった

俺がこんなに本気で歩ちゃんのこと好きだなんて誰にも言えなくて、だからこの気持ちも伝えられぬまま

負け戦だと決め込んで連絡すら出来ずに半年以上が経った

それでも彼女に教えてもらった連絡先は、往生際悪く携帯に登録していた

この気持ちを伝えていいんだって、誰かに背中を押して欲しかったのかもしれない

「徹が一番輝いてんのは、バレーしてる時でしょ?」


姉貴にそう言われ、決心した

次のバレーボール教室の日、彼女を呼び出す

俺のプレーを目に焼き付けてほしい

そして俺の気持ちを知って欲しい…


「やっぱ最後のバレー教室の日さ、猛の送迎頼むわ」

俺がそう言うと、姉貴は察したように

「分かった、てか私ビブス洗濯の当番だし、ちょうどよかった」

と言った






「徹、あんたは私の自慢の弟、いい男だよ」

姉貴は帰り際、俺の肩をポンポンと叩いて帰っていった
/ 554ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp