• テキストサイズ

FLYHIGH(ハイキュー)

第8章 それぞれの春高まで


まだ石垣に座ったままの俺のところに歩が、履き慣れない草履を履いて小股で近づいてくる

「行きますよっ」

「ん」

試しに右手を気怠そうに差し出す



一瞬、間があったような気がしたけど歩はギュッとおれの手首を掴んで、立ち上がらせてくれた

チラッと視線を上げるとバッチリ目が合う

ほとんど身長一緒だし…


一瞬歩の頬が赤くなった気がしたけど、気のせい?

それともクロの言う通り、歩もいつもと違う姿に意識してたりするのかな


「研磨さん、めっちゃ似合ってますよ」

「歩こそ…」



にしても着物姿もそうだけど、髪型も新鮮でそれだけでドキッとする

ショートカットで見えてる首元よりも色気があるのは何でなんだろう

このまま2人でどっか行きたい

誰かと長い時間一緒にいるのは疲れるけど、歩ならいいかなって思う

あれ?おかしいな…

おれ、いつの間にこんなに歩のこと…

もしおれが、飽きたりしないからちゃんと付き合おうって言ったら歩は信じてくれるかな


「どうしたんですか?行きますよっ」

思考を遮るように歩の声がして、掴まれたままの手首を引かれて、みんなの所に連れていかれる


ふと歩のうなじにキラリと光るチェーンが目に入った

ネックレスかな?

その時はさして気にも留めなかった





おれたちは雷門の前で集合写真を撮って、仲見世に入る

お団子や最中、揚げ餅など事前に灰羽姉弟がリサーチしてくれた店を回る

歩はベンチに腰掛けると、いろんな店の食べ物を頬張りながら、美味しい美味しいってはしゃいでる

するとクロが歩の背後から近づいて、彼女が手に持っていたお団子をパクりと食べる

「ぁああっ!何するんですか!」

怒りながら振り返る歩

「いーじゃんちょっとぐらい、あんま甘いもんばっか食べてると太るよ」

クロも負けじと応戦する

と、クロが何かに気づいたように歩の首元に触れると、ネックレスのチェーンのようなものを引っ張る

「なにこれ」

クロが言うと同時にネックレスのチャームの部分が襟の外に出る

キラリと輝く月のモチーフ


おれは唐突に全てを悟った
/ 554ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp