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FLYHIGH(ハイキュー)

第8章 それぞれの春高まで


「め、女神…」

「ほ、ほんと今日だけだからね」

潔子さんはみんなに念を推しながら、ジャージのファスナーだけを開けて、そこからピンクの生地で真ん中に

清水潔子

と書かれたド派手なTシャツを覗かせる

「龍〜!!俺は!猛烈に感動している!」

「潔子さんが!潔子さんが俺たちの作ったTシャツをお召しに…」

田中さんとノヤさんは感動のあまり、涙を流している


「はいはーい、じゃあみんな並んで!写真撮りますよっ」

武田先生がポンポンと手を叩いて、みんなを並ばせる


「歩、こっちきなよ」

ツッキーに言われる

「えー、隣並んだら夫婦漫才なるやん」

て、言いながらも隣に並ぶ

「いや、もう全員のTシャツが意味不明だから、誰もそこ気にしないでショ」

「たしかに」




「はーい!みんな行きますよーっ!

武田先生が一眼を三脚に固定し、セルフタイマーを起動させる


ピッピッ…ピピピピピピ

カシャッカシャッカシャッ



「連写!」

「そうだよ、みんなのベストショット選びたいからね」


武田先生は小走りでカメラに近づき、撮った写真を確認する



「あ、これ…すごくいいですね」

武田先生が画面を見せてくれる


前列に3年生が座って、その両端にコーチと武田先生

その後ろに山口くん、ツッキー、私、やっちゃん、影山くん、縁下さん、成田さん、木下さん

その更に後ろで翔陽と田中さんとノヤさんが思いっきりジャンプしてる


「すごい!ほんま飛んでるみたい!先生、この写真くださいね」


青春を切り取ったその一コマに映る私たちは本当に楽しそうで

この時が永遠に続くように思うけど

あと1ヶ月もすれば3年生は引退

そんなの仕方ないし分かってるけど、4月になれば…

もう同じチームなどどこにも存在しない

インターハイに出る頃

その会場に3年生はいない

大地さんもスガさんも東峰さんも潔子さんも…


そしてもちろん

青城の及川さんも

白鳥沢のウシワカさんも

音駒の黒尾さんや夜久さんも

梟谷の木兎さんも…


分かってる

でも今が1秒でも長く続いて欲しいと願わずにはいられない

やっと会えた心から気を許せる仲間たちとの居場所



画面の中で笑うみんなを見てると込み上げてくるものがあった

春高、勝って3年生との最高の思い出にしたい
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