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FLYHIGH(ハイキュー)

第8章 それぞれの春高まで


歩が僕の肩をポンと叩く


結局お母さんが運転する車の後部座席に2人で乗り込む

「蛍くん、またいつでもきてね」

「あ、うん…ありがとう」

開けられた後部座席の窓越しに、妹たちにペコっとお辞儀をする




歩の家から歩いて帰るとソコソコ遠い

車で向かえばあっという間だった

あと数年して車に乗るようになったら、いつでも気軽に行き来できるようになるんだろうか


「あ、この辺で…今日は急にお邪魔して、ケーキまでいただいてありがとうございました」

「ううん、いいのいいの!騒がしい家やけどいつでも来てね」

「じゃあね、おやすみ」

「うん、また明日」

後部座席のドアが閉められ、ワンボックスカーが走り出した




「ただいま」

玄関に腰を下ろして靴を脱いでると兄ちゃんが飛び出してきた

「なに?」

「蛍、遅かったな!どっか行ってたのか?」

「別に…母さんには遅くなるって連絡したけど」

「ふーん…さてはクリスマスだから、彼女とデートしてたんだろ?」

兄ちゃんがニヤニヤしながら言う

「だったらなに?」

兄弟でこんな話したことないから、むず痒くてぶっきらぼうに答える

兄ちゃんは心底驚いた顔をして、大声を出しながらリビングに駆け込む

「母さん!!大変だ!赤飯だよ!赤飯炊いて!」


「は?明光何言ってんの?!なんでクリスマスの夜に急に赤飯炊かないといけないのよ?」

困惑する母の声が聞こえる


「だって蛍に彼女が!」

「ええええ!蛍に彼女?!それは赤飯ね!この時間に赤飯…コンビニだったら売ってるかしら」

兄と母の謎の会話が聞こえてくる


「買いに行かなくていいから」

ボソッと言って、僕は自分の部屋に戻った




なんか心の中が1日忙しかった

プレゼント交換の時はイラっとしたし

でもその後のデートは…

思い出すだけでニヤつく

カバンから小さな包みを取り出して、歩から貰ったブックマーカーを眺める




イニシャルが入った2人お揃いのブックマーカー

遠い未来

同じ屋根の下でこれを使ってるのを想像してみる

初夏の昼下がり、ウッドデッキに置いた椅子に腰掛けて、冷たい飲み物を飲みながら2人で本を読む

そろそろ出掛けようかなんて言いながら、読みかけの本に栞をする




「悪くないね…」
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