第8章 それぞれの春高まで
ー歩side
これは…
一応両想いってことでいいんかな
春高終わったらツッキーの方から言ってくれるって…なんか彼女にしてもらう予約したみたいで恥ずかしい
でも心の中はフワフワと暖かい
やっと気持ちが通じた気がする
何回もすれ違って…
来年のクリスマスも予定空けといて
今はその言葉だけで充分満たされる
それに、多分今付き合ったら、春高前のみんなの雰囲気を壊すことになるかもしれんってツッキーがチームのことを考えてくれてるのが、また嬉しかった
最初の頃と別人やなぁ
背が高くて歩幅の広いツッキーを追いかけるように早足で歩いて、上着の裾を右手でギュッと掴む
それに気づいたツッキーが、私の手を取り、繋いだ手をポケットに入れる
ツッキーのポケットの中は暖かかった
「僕…冬って寒いから嫌いなんだけど
…まぁなんか今年は悪くないかも」
「ふふ、じゃあこれからは毎年悪くないんちゃう?」
「かもね」
そう言ってツッキーはポケットの中で繋いだ手をギュッと強く握る
家に送ってもらう途中、近くの公園に立ち寄った
明日からはまた部活漬けの日常に戻る
ほんの少しまだ、甘い余韻に酔っていたいとお互いが思ってたのかもしれない
それに、プレゼントも渡せてないし…
部のプレゼント交換は慌てて用意したけど、ツッキーへのプレゼントはクリスマス空けといてって言われてからずっとめっちゃ考えて考えて…考えすぎて一旦何がいいか分からんくなったけど、一応事前に用意してた
私はベンチに腰掛け、ツッキーが自販機で買った温かいココアの缶を受け取る
「ありがとう、あったか〜」
ツッキーも隣に座る
「正月にはこっち帰ってんの?」
「あ、うん…多分1日の朝には出るから、午後には帰ってるんちゃうかな?2日から部活やし」
「じゃあ帰ってきたら初詣でもいく?」
「いいよ」
「そう言えばさ…
この前伊達工からの帰り、菅原さんとどっか行ってたの?」
やっぱり不自然やったか…
「あ、うん…私のスニーカーがあんまりボロボロで、買いについてきてもらって…それからついでに部のクリパで交換するプレゼント買いにいっただけやねんけど」
「それ?新しいスニーカー」
ツッキーが私が履いてるスニーカーを指差す