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FLYHIGH(ハイキュー)

第8章 それぞれの春高まで


少しリクライニングするシートにもたれかかると、室内が暗くなり、屋外にいるのかと錯覚するような美しい星空が天井に浮かび上がる

落ち着いた声で星座についてのナレーションがされ、それを聴きながら星空を見上げる

チラッと横目で隣にいるツッキーの方を見る

真剣な眼差しで天井を見上げる姿にドキリとする

いっつも大体嫌味ったらしいことばっか言って、人のこと小馬鹿にしたみたいな態度やのに

もう…そんな真剣な顔されたらドキドキする

私の視線に気づいたのか、ツッキーがこっちを向く

見てたことがバレないように慌てて目を逸らすけど、ツッキーは私の耳元に口を近づけ

「僕じゃなくて星見なよ」

そう言ってクスッと笑う



ああ、今ここが真っ暗でよかった

今多分ヤバいぐらい真っ赤やと思う

目線だけで抗議し、私は平静を装って天井を見上げる


と…


肘掛けに置いている私の右手に
そっとツッキーの左手が重ねられる

!!!


ドキドキドキドキ

心臓の音がうるさい

もはやプラネタリウムどころではない

繋がった右手だけが妙に熱い



やっぱり私ツッキーのこと好きや

そう自覚した日からずっと

その時よりもっともっと

だから…

今日ちゃんと伝えよう





仙台市天文台を出る頃には外も真っ暗で、見上げると本物の星空が広がっている

「遅くなったけど、家大丈夫?」

「あ、うん…部活の後出掛けるって言ってきたし」

「僕とって?」

「さすがに言ってない…言ったら妹ら付いてくるもん」

「でもクリスマスの夜に出掛けるなんて、帰ってからどうせ尋問されるデショ?」

「まぁ…そうやけど」

「なに?何か口数少ないけど…君が静かだと調子狂う」


いやいやいや、そんなこと言われても

今日伝えようって意気込んでしまって、自然に会話が出来ひん

これってどんなタイミングで言ったらいいの?



「あ、あの!ツッキー!」

少し前を歩くツッキーを後ろから呼び止める

「…なに?」

「私…私の気持ち、聞いてくれる?」

「…歩、その話待って」

「え?」

予想外に告白を遮られて戸惑う

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