第8章 それぞれの春高まで
ー歩side
小学生のツッキーの破壊力やばい
「ツッキー、つかぬことを聞くけど小学生の時誘拐されたり…」
「してないから」
でもこれは誘拐したくなるほど可愛い
あとでやっちゃんに貰おう
「あれ、まだなにか…」
やっちゃんが封筒の中から何かを取り出す
「スタバのカード!」
「1000円分しかチャージしてないけどね」
まぁさすがにツッキーの写真1枚がクリスマスプレゼントやったら、チームメイトに当たった時暴動起きるもんな
「でも、すっ…すたばなんてオシャレなところ、私1人では…」
やっちゃんが挙動不審になる
「一緒にいったらいいやん」
「え?!うぇ?!いや、そういった意味で言ったのでは」
「今から行ったらいいやん、な?山口くん」
ニヤニヤしながら言う
「あ、うん!俺は…その…谷地さんさえ良ければ…」
「クソー!山口がクリスマスに女の子とスタバとか…先越された」
「ごちそうさまだコノヤローが!解散だ解散!」
田中さんとノヤさんが不貞腐れてお開きとなった
ツッキーとこの後約束してたけど、思いの外プレゼント交換が盛り上がって、日が傾き始めてる
ほんまはツッキーが好きな博物館行くのとかどうかなって思ってたけど、この時間からじゃ難しいかも
私たちは早足で自転車置き場に向かい、
もう何度目になるだろう
自転車の後ろに跨って、ツッキーの上着の裾を掴む
「歩、行きたいとこ決めた?」
「ほんまは博物館とか…思ってたけど、時間的に難しいよな?」
「そうだね、それはまた今度」
ツッキーは、行き先を告げずにペダルを漕ぎ出す
駅に着くと青城に行く方面の電車に乗り、向かったのは
「ここって…」
仙台市天文台
「歩、プラネタリウム見たことある?」
「ない」
「僕も」
そう言ってツッキーが私の手を引き、建物の中に入る
クリスマスにプラネタリウム
ロマンチックやなぁ
他にもロマンチックなクリスマスを過ごすカップルたちが
…てかカップルだらけやん
私らは…
「ほら行くよ」
ツッキーが振り返って言う
私らは…どういう関係なんかな