第8章 それぞれの春高まで
「そうなんだ、便利そう…嬉しい、歩ちゃんありがとうね」
清水さんが歩に向かって微笑みかけると
「ぐぬぅぅ!潔子さんのプレゼントを貰った縁下も羨ましいが、潔子さんにプレゼントを使っていただける橘も羨ましい」
田中さんが言う
「それ本気で言うてるんやったら、焼肉のタレを潔子さんにあげることになりますけど」
歩が言うと、爆笑が巻き起こる
みんな盛り上がってるとこ悪いけど
さっきの一連の流れ、すごい引っかかったの僕だけ?
菅原さんはどうして歩のプレゼントを知ってたわけ
しかも俺も持ってる…って
そう言えば影山が貰った菅原さんからの靴下、同じ店のブランドだった気がする
2人でクリスマスプレゼントを買いに行ったってこと?
モヤモヤする…
そんな歩が小さめの包みを開けると、中からキーホルダーのようなものが出てきた
「見てください、めっちゃ可愛い!スヌーピーの絵があってvolleyballって書いてる」
「あ、それ俺」
縁下さんが右手を挙げる
「よくありますよね、色んな部活のキーホルダーみたいなやつ!でもスヌーピーは初めて見ました!可愛い!チャリのカギにつけます」
歩は嬉しそうにキーホルダーを眺める
「でもよ縁下、これ俺らに当たったらちょっと可愛すぎるよな」
田中さんが言うと縁下さんは
「うん、プレゼント交換なんて何がいいか全然思いつかなくて、女の子にあげるならって決め打ちしたからね。歩ちゃんに貰ってもらえてよかったよ」
そう言って縁下さんは歩の方を見て微笑む
女の子にって言うか、多分歩にあげるならって思って選んだってことだろう
「私のは…ナニコレ?」
谷地さんが封筒の中からポストカードか何かを取り出す
「月島くん?」
「え?」
まさか…
嫌な予感がして立ち上がり、谷地さんの手にある紙に目をやる
それは小学生の時の僕の写真
「山口…」
「ごめんツッキー!どうしてもみんなに小学生のツッキー見て欲しくて」
「わわわ私がこれを貰っても!!!」
谷地さんもパニック
「え、見せて見せて!可愛いっ!可愛すぎる!可愛い通り越してもはや尊い!」
歩が興奮している
なんなのもう…