第8章 それぞれの春高まで
ー月島side
クリスマス当日
部活が終わったら歩と出かけようと思っていたのに…
「なんでクリスマスまでこのメンバーで過ごさなきゃ行けないんですか?僕、予定あるんで帰っていいですか?」
「月島ァ!お前抜けがけは許さんぞ!今からバレー部恒例クリスマスパーティだからな!てか事前に言ってあったろ!」
田中さんが凄い形相で噛み付いてくる
事前に聞いてはいたけど…正直それどころじゃないし
でも歩が参加する以上、僕だけ先に帰っても意味ないし…
プレゼント交換をするから事前に何か用意しとけって言われたけど、僕は歩へのプレゼントを考えるのに必死ですっかり忘れていて、朝家を出る時に慌てて、坂ノ下商店のタオルを引っ掴んできたという有様だった
プレゼント交換が始まる
ジングルベルの歌に合わせてみんなで1フレーズずつ歌いながらプレゼントを横に回していく
田中さんと西谷さんは清水さんのプレゼントを貰おうと必死だ
音楽が止まると
「潔子さんのプレゼントまであと1人だったのに!許すまじ縁下〜!!」
どうやら清水さんのプレゼントは縁下さんの所に行ったようだ
清水さんが選んだプレゼントは烏のマグカップだった
みんなも続々とプレゼントを開封していく
田中さんは影山が選んだサポーター
どんだけバレーバカなの?
山口は東峰さんが選んだ詩集
僕は…
「ハチマキ?」
手書きで気合!と書いてある
「俺のだ!今つけてみろ月島!」
西谷さん直筆の気合ハチマキ
つけるわけないじゃん、しかも歩の前で…
と思ってたけど、抵抗も虚しく装着させられた
「アッハッハ!めっちゃ似合ってるで!」
歩は僕を指差し、腹を抱えて笑っている
キャプテンは田中さんが選んだ焼き肉のタレ
菅原さんはキャプテンが選んだダルマ
影山は菅原さんが選んだ靴下
西谷さんは日向が選んだ小学生みたいな筆箱
そして僕が朝引っ掴んできたタオルは日向の元へ
次に清水さんが包みを開けると
「手袋…?」
グレーの手袋で人差し指の指先だけが黒になっている
「それ、歩ちゃんの。俺も持ってんだけど、人差し指のとこだけ特殊素材で手袋つけたままスマホ触れんの。超便利!」
菅原さんが説明する