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FLYHIGH(ハイキュー)

第8章 それぞれの春高まで


ー菅原side

歩ちゃんの足元に屈んで、箱から靴を取り出す

「ちょっ、スガさん自分で出来ますからっ」

「いいのいいの」

靴紐を通して履ける状態にする

「ありがとうございます」

そう言って彼女が靴にスッと足を入れる

「どう?」

「あ、ピッタリです」

そう言って俺の顔を見て微笑む



この靴が例えばガラスの靴だったとしたら

俺と君は結ばれたんだろうか



なんてイタイ妄想をしてしまう

君の瞳に俺が映ってないことぐらい分かってる

それでも…



「スガさん?」

歩ちゃんの声で我にかえる

「あっ、次コッチ履く?」

「あ、はいっ」


もう一足の靴を履くと彼女はスッと立ち上がる

「PUMAの方は甲が浅いんで、痛くなる気がする」

「あー、そうかも。オニツカは日本人の足に合わせて作られてるからね」

「なるほど、じゃ、こっちにします」

「え、そんなんでいいの?他は見なくて大丈夫?」

「はい、私気に入ったら即決なんです」

「そう?」



「それに…

スガさんが選んでくれたから」


そう言って屈託なく笑う君に心がズキンと痛む


これだから諦めらんないんだよ


「…俺が買ってあげようか?」

「それはダメです!結構高いですから」

「クリスマスプレゼントってことで」

「そんな…関係でもないし…受け取れません」

「そんなってどんな?彼氏じゃないからってこと?」

「いや…その…ただの後輩にプレゼントするような金額じゃないですもん」

「歩ちゃんは、ただの後輩なんかじゃない」

真剣な眼差しで見つめると、歩ちゃんは頰を紅く染めながら

「…でも…やっぱりこれは自分で買いますっ!」

そう言って箱を持ってレジに向かう




あんな風に言って困らせたかな?

気まずい雰囲気にはなりたくない

靴を買って戻ってきた彼女に努めて明るく話しかける

「クリスマスプレゼントで思い出したけど、部でプレゼント交換するって聞いた?」

「そうなんですか?知りませんでした」

「歩ちゃん靴選ぶの即行だったから時間まだあるし、見に行ってみる?」

「そうしましょう!高校生の男子にプレゼントって何がいいんですかね?」

「歩ちゃんが選ぶなら、アイツら何でも喜ぶと思うけど」
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