第9章 生命と選択
四番隊に訪れたのは、久しぶりだった。
まだ瀞霊廷にきて間もない頃、検査の一環と言うことで訪れた以来だ。
乱菊に伴われて、待つこと10分程。
診察は四番隊の隊長である卯の花によって行われることになった。
「え、私もここにいるわよ?」
「乱菊さんは戻って。じゃないと、日番谷隊長がまた怒っちゃうじゃない」
「いつも隊長は怒ってるんだし、いいじゃない~」
「そういう問題じゃないよ…。自覚があるなら、もうちょっと隊長のお手伝いしなきゃ」
美穂子はため息をついた。
毎日のように乱菊がサボるおかげで、まだ身丈の小さい隊長は毎日怒鳴ってる。
そのうち、剥げるんじゃないかと本気で心配したくなるほどだ。
美穂子の再三の説得に、乱菊はしぶしぶ十番隊へ戻ることにした。
既に時間は夕方。
もう後一時間もしないうちに定時を迎える時間と言うこともあり、十番隊に戻って冬獅郎に迎えに来てもらう必要もあるため、乱菊は了承したのだ。
「もう…。じゃあ、終わったら待合室にいなさいよ?隊長呼んでくるから」
「うん、よろしくね。仕事ちゃんとしてね?」
「もう、終わりだもの♪」
にこっと笑ってスキップしながら帰っていく乱菊に美穂子はため息をついた。
きっと美穂子が四番隊にいると伝言を伝えたら、定時だからとか理由をつけて帰ってしまうのだろう。
(ほんと…日番谷隊長って大変)
本人は本当に真面目な仕事人なのに、直属の部下があぁではやりきれないだろう。
六番隊では副官の能力の問題は多少あるにせよ、サボっていないという状況じゃないだけまだマシというものだ。