第8章 運命の歯車が動き出す
「―……。美穂子、これから十二番隊へ行くぞ」
「え?」
「少し、思うところがある」
白哉はそういうと、伝令神機を取り出してどこかへ連絡をする。
十二番隊だろうか。
「あぁ、頼む」
ピッという音と共に通話を終えると、白哉は美穂子を見た。
「今日は六番隊の仕事はしないでいい」
「え?」
「―…行くぞ」
「え、ちょ…っ、白哉?」
美穂子はくるりと死覇装と白い羽織を翻して歩き出す白哉を慌てて追った。
美穂子は頭の上にいくつものクエスチョンを浮かべて、追いていかれないように白哉を追った。
いつもなら、美穂子の様子を見て歩速を落とす白哉だが、内心穏やかではないせいか気づかなかった。
(―…危惧であってほしいが)
斬魄刀の声―…なのだろうか。
美穂子には霊力のようなものがあるが、それ以外の力は現在のところ確認されていない。
なぜ美穂子が魂の世界である尸魂界に留まれるのか。
それも解明されていない。
白哉は無性に、不安に駆られた。
何か―…いやな予感が、白哉の心に影を落としているような気すらした。
「…っ、白哉!」
「!?」
ぐいっと死覇装を引っ張られて、白哉は驚いて振り返る。
そこには、息の乱れた美穂子がいた。