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鬼ヲ脱グ【鬼滅の刃/猗窩座・狛治】

第15章 蓮華



「…天元…!」

天元の放った言葉は呆れや失望でも、その強い口調と声色、そしてその肩を掴む手の強さは、事態に対する共感故にしっかり冷静に現実を見ろという思いが伝わるものだ。

「テメェはまだ、昔の自分と心中するつもりか!?いい加減にしろ、馬鹿野郎!!」

天元は、狛治を強く揺さぶった。その力に、狛治の体がぐらつく。
涙腺が痛い。
天元の真意が伝わってくると、それまでに桜華と約束した、彼女を守ろうと自分が口にした言葉が次々と思い出しては胸を苦しくする。

「俺の隣で笑っていろと…また、彼女に地獄を…」

「まだ命があるだろ!!」

天元は狛治の髪を掴んで顔を無理やり上げさせた。

「お前は、この数年で何を学んだ?命を奪うこと以外捨てていたテメェが、この場所で、日神楽桜華という女から何を教わった!?」

その言葉に、狛治の虚ろだった瞳に、微かな光が宿る。

「…」

「お前は、もう過去の人間じゃねぇ。お前には、守るべきものがいる。俺も含めて派手にお前の味方がいるだろうが!
お前がここで地味に立ち止まってて、姫さんが助けられるか?いいや、助けられねぇな!」

天元の言葉に、狛治の握りしめた拳から血が滲んだ。

そのとき、雛鶴が静かに狛治の前に歩み出た。

「狛治さん。桜華さんと約束していましたよね。
必ず迎えに行くと…」

彼女の声は、優しく、しかし確かな力を持っていた。

「彼女は、決して弱くないのはご存じでしょ。
狛治さんに子供たちを任せて、産後のボロボロの体でたった一人で、鬼の元へ向かったのですよ。

今でも信じて待っているはずです」
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