第9章 月詠の子守唄
「理解は出来た。誰の生まれ変わりだろうが、親が誰かって俺にとっちゃァ、地味にどうでもいい話だ。
目の前にいる本人がやったことじゃねぇ。むしろ、生まれ変わってそれを覚えてまで、自分の親父のケツ拭こうってしてんだ。
俺には派手にそっちの方が好印象だ。」
「そう言って貰えると助かる。」
宇髄の言葉に狛治も救われた気がして、思わず桜華の代わりに頭を下げた。
「宇髄さん、有難うございます。
わたしは、今世の父、縁壱に次いでわたしが生まれたことに大きな意味を感じています。
そして、武士がいらぬ世、刀を持つ者がいなくなった今、時代は大きく変わって、鬼殺を志す者も減るでしょう。
恐らく、いや、必ず、わたしの代で鬼舞辻無惨が表に出て亡ぼせる最大にして最後の機会が巡る。そう思うのです。父が生前そう申していたように.....。」
「桜華さんがそう思うように私もそう感じています。
鬼舞辻が欲するものは二つ。
青い彼岸花
日光を克服した鬼
そしてそれらは全て死を一番に恐れる無惨が太陽を克服し完全な不死身の肉体と無限の命を欲するため。」
珠世が言う言葉に、狛治も賛同するように頷く。
「そして、鬼は全て無惨の鎧であり駒だ。より強い鬼を欲し、強くなければ、無惨の名を晒しただけで排除され殺される。
青い彼岸花、日光を克服した鬼、今までと明らかに違う特徴の鬼が現れた時、こちら側につける必要がある。
アイツは用心深いし自分は動かない。
負け戦が確定すれば、二度とその時代には姿を表さない。
縁壱さんの時そうだったように....。
そういう理由で、俺は鬼狩りとしては動かんが、鬼狩りを育てることをしたいと思っている。
まだちゃんと桜華と話てはいないが、思っていることはおそらく一緒だと思うから言う。
俺は、柱が10人になり、あと一人の日の呼吸を使えるこの耳飾りと同じものをつけた者が現れるまでそれを続けたい。」
「わたしも全く同じ考えでございます。」